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田村屋本舗
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novelistID. 61089
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君と僕の距離

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煙草の煙り越し


テーブルに肘を立て
頬杖つく君の横顔


吐き出した煙りは
音もなく



消えていく



隣り聳え立つ
接触した建物


僅かばかりの
余白から見える景色は
鉄線のように電線が
張り巡らされている


強い風すら
流れ込まない
窓に座り


舞い上がっては
膨らみ
消えてゆく煙りを
茫然と眺めていた



潮風があれば


煙草の煙りを
君の場所まで
運んでくれるだろうか


君の鼻腔を擽る事が
出来るだろうか



何度 
煙草の煙りを
吐き出しても



君へは
届かない



排気ガスと
エアコンの室外機
渦巻く生温い風では


君へは
届かない




海へ行こう



潮風に吹かれ
煙草の煙りが
君へ



届くように


作品名:君と僕の距離 作家名:田村屋本舗