新陰流武芸帖~秘剣! 盟神の太刀
魔王と恐れられたその男と対峙して、しかし上泉信綱は明鏡止水の沈着さで相手を分析していた。
たしかに豪快な剣ではあるが、いかんせんクセがありすぎる。
一足一刀の間合いを保ちながら剣をわきへ引き寄せ、やがて彼は冷笑とともに言い放った。
「さては貴様、イモだな」
魔王の顔色がみるみる変わってゆく。
「おはん、おいを愚弄すっとかっ」
「イモだからイモと申したまでじゃ。それとも俺の勘違いか?」
「……いや、イモでごあす」
作品名:新陰流武芸帖~秘剣! 盟神の太刀 作家名:Joe le 卓司