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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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高速道路にペットショップができました!!

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道路沿いのペットショップは店員のため息ばかりが反響していた。

「売れないなぁ」
「売れませんねぇ」

「場所が悪いのかなぁ」

「それもあると思いますよ。高速道路のパーキングエリアで
 ちょっとペットでも飼おうか、なんて人はいませんし」

「かわいいんだけどなぁ」

檻に入っているペットたちはどれも愛らしい。
排泄物すらほおずりしたくなるほどに。

「このままじゃまずい。専門家を呼ぼう!」

後日、ペットショップにやってきたのは
メガネをかけた小太りのスーツ男だった。

「はじめまして、私はなんでもプロデューサーの秋本やしすです」

「すごい噛みそうな名前……。どういったお仕事なんですか?」

「どんなものでも売れるようにプロデュースします。
 アイドルからゴミまでなんでも売ってみせますよ」

「本当ですか! それじゃ、うちの店をプロデュースしてください!」

「それは無理です」

「ええええええ」

今なんでもプロデュースするって言ったのに……。

「プロデュースするのは店ではなく、品物……つまりペットです。
 いくらCM出しても、ぼろぼろの店には客が来ないでしょう」

「たしかに」

「ひと肌脱ぐ覚悟もないくせにプロデュース頼んでんじゃないよ」

「言いすぎじゃないですか!?」

ショップは秋本氏の監修のもと、宣伝方法を変えた。

これまでのバラ売りではなく、
ペットたちをまとめて「グループ」単位でまとめ売りすることに。

「名付けて、PKT48だ!」

「どこから48が……」

「ペット・かわいい・トンカチでPKT」

「トンカチが無理やり過ぎませんかね」

「48は私の年齢だからな」

「この人、話つうじねぇ!」

PKTとして華々しいデビューをかざり、
店の前にものれんを出したりして宣伝しまくった。

けれど、一向に客足が寄り付くことはなかった。

「……ダメですね。たまに見に来る人は来ましたが
 買う人は誰もいません」

「今気づいたけど、ペットまとめ買いする人っていないな」

「それ考えずにプロデュースしたんですか!」

すでに成犬になりかけている犬猫をまとめたところで、
飼う手間が増えるだけで売れるものではない。

客足はますます途絶えて、ついに従業員を一人解雇することになった。

「すまない……またいつか店に戻ってくれ」

「店長、お世話になりました」

その先はもうわからない。

 ・
 ・
 ・

「え!? あのペットショップが大人気に!?」

話を聞いてびっくりした。

かつて勤めていた場末のペットショップが、
今や大人気のスポットとして返り咲いているとのこと。

「本当にすごいな、あのプロデューサー……!」

最初はうさんくさい人だと思っていたけど、
最後には必ず成功させてみせる。

「よし、行ってみよう!」

元店員は久しぶりにあの店を訪れることに。
そのあまりの人の多さに言葉をなくした。

「一列に並んでください! 一列に!」

どこからか聞こえる店長の声。
行列の横にはガラスケースに入ったペットたち。

「ははぁ、なるほど。名物を作って行列を作る。
 待たせている時間にペットを見せて宣伝させるわけか」

こんな方法があったとは。店員も思わず舌を巻いた。
子供なんかは待っている時間に、ガラス越しのペットを見て
「これ飼いたい!」など親にねだり始めている。

「おお、君か。戻って来たんだね」

「店長! お久しぶりです、すごい人気ですね」

「これもプロデューサーのおかげだよ。
 今じゃ観光スポットみたいになってるからね」

「本当によかったです、他人の知恵を借りるって大事ですね」

「いや、今回のアイデアは私から出したものなんだ」

「店長が考えたんですか?
 それじゃプロデューサーは何を?」



店長があごでしゃくった先には、
ガラスケースに秋本氏がペットとして入っていた。

>生後:576ヶ月 オス 種別:ヒト



「誰も飼いはしないけど、今じゃこの店の看板さ♪」