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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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神の加護をカウントせよ!

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『この声が聞こえますか……。私は神です。
 人間の価値を格付けるのに2つの要素が大事だとわかりました。
 それは、忍耐力とスピードです』

「この声……みんな聞こえているのか」

行き交う人も足を止めている。

『それを見極めるために、今日は何かをカウントしてください。
 ではアデュー』

神の声が途切れると、みな一斉に数を数え始めた。
今日、ということは0時までに
誰よりも数を数えて多い方がいいに決まっている。

神に認められれば何かしらのメリットがあるはずだ。

『あ、そうそう。ただ数字を数えるだけじゃダメですよ。
 ちゃんと物の数を数えてくださいね』

ただ数字をカウントしていた大多数が慌てて中断した。
俺も100まで数えた段階でやめた。

「よし、この町にある家の数でも数えようか。
 1つ、2つ、3つ……」

小さな町なのに、数えてみるとかなりの家がある。

「231件。数え間違いもない。
 忍耐力の証明になるな!」

他の人の数も念のために聞いてみる。

「僕はスーパーのうまい棒の数を数えたよ」
「階段の数を数えました」

「よしよし、俺の方がずっと多い!」

どこまで続くかわからない数を数えるのは怖い。
なにより面倒くさい。

231まで数えた俺以上の数字を出すやつはいなかった。

「231? 笑わせるねぇ、ぼくは400だよ」

「な、なにぃ!?」

小学生のころからのライバルが現れた。

「400なんて……いったい何を数えたんだよ!?」

「109ビルの窓の数さ。大量にあるし、数えやすいだろう」

「くっ……! その手があったか……!!」

これではとても勝てない。
もっと多い数を数え直さなくては。

「そうだ! 行き交う人を数えればいい!
 あれなら400なんてすぐだ!」

駅の改札前に陣取ると、改札を通る人の数をカウントする。
数はみるみる増えてあっという間に400オーバーする。

「勝った! 行き交う人、450人! これで俺の勝ち!!」

大喜びしていると、耳もとで神の声が聞こえた。

『これは精密さを試す試験だっていったよね?
 ほら、今の数は増えていってる。450じゃないよ』

「えっ!? ダメ!?」

行き交う人の数はこうしている間も増えている。
自動的に増えていくような数は数えることができない。
数えたところで、数が一致しない。

「くそっ! 無駄な時間を過ごしてしまった!!」

残り時間もあとわずか。
数えられるとしても間に合うかどうか。

失意に目を落としたとき、ふと目に入った。

「歩道のタイル……そ、そうだ! これを数えよう!」

歩道に敷き詰められているタイル。
これならビルの窓の数よりも多いかもしれない。

「1つ、2つ、3つ……」

数を間違えれば元も子もない。
精密にかつ急いでカウントをはじめる。

そして、ついにカウント終盤になったとき。

「396、397、398……399!?」


――1つ足りない。


歩道のタイルの数はビルの数より少なかった。
もう新しいものを数える時間はない。

「ふざけるな!! せっかくここまで数えたのに!!」

タイル2個ぶんでも増やすことができればいいのに。
けれど、俺にはそんな技術も能力もない。

せいぜいできるのは壊すことくらいで……。

「壊す……そうだよ、壊しちゃえばいいんだ」

自分の数える対象を増やすことはできない。
でも、ライバルの数えたものの数を減らすことはできる。

俺は足元の石を持って、ビルに向かって投げる。


ガシャン!
パリーン!

ガラスの割れる音がいくつも聞こえる。

「これで! これで俺のカウントが一番だ!!」

制限時間いっぱいまで窓ガラスを割ってやった。
これで399個数えた俺が一番だ。

0時になると神の声が聞こえた。


『みなさん、カウントお疲れさまでした。
 今日のトップはタイルを数えたAさんです』


俺の名前が呼ばれた。

「やったぁ!! やったぞ!! 俺の勝ちだ!!」

神も俺の行動は気付かなかったらしい。
不正したからダメということもない。

「それじゃ神様! 俺に何か褒美があるんですね!
 俺がこのなかで一番価値のある人間ですから!!」



『みなさん、今日の忍耐力試験お疲れ様でした。
 次のスピード試験は、今日数えた数をカウントダウンしてください。

 今日の数が多い人、そして数え終わるのが早い人が
 もっとも人間的に価値がある人とします』


「試験って2つあるの!?」

400個数えたうえ、カウントダウンではライバルが一番早く終わった。
俺がほとんど窓ガラスを割り終わっていた。