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Naturally-ナチュラリー・レベル3/side-S-

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女は忙しいのよ。

あれもこれも。
やんなきゃいけないことがいっぱい。

だけどたまには生き抜きしたいわ。
だって、その後に影響するの。

睡眠といっしょ。
お肌といっしょ。

体のバランスが崩れるの。

息抜きすること。
それは、心のビタミンね。



「はい、おまちどう。」

テーブルに置かれたいい香りのするお茶のカップ。
私はクンクンと鼻を鳴らした。
「いー香りぃぃぃ」
思わずキーボードを叩く指を止めて、ほっと和む。
「そりゃそーでしょ。アタシが煎れたものだもの!」
ふふん、とキョウコが胸を張って仁王立ち。
「あーん、モチロンよ!感謝してるわぁ!」

精一杯の感謝を述べて私はカップを手にもう一度、その香りを楽しむ。
キョウコは前からお茶類の煎れ方がすごい上手い。
それに何度、ヘタれ壊れそうになる修羅場を助けてもらったか!
感謝感謝、キョウコ様!!って感じ。

「で、どう?峠は越えそうかしら。」
ディスプレーを見てキョウコがそう聞いた。
「んー。もうちょい?って感じかな。」
私はお茶を飲みながら、そうつぶやく。
「でも納期には間に合いそうよ。なんとかね。」
「あら、それは良かったじゃない。」
「ホント。早く開放されたいわ。」
やれやれ、とちょっとため息。

今回の仕事は意外に手こずった。
メールでやりとりして、第一段階でつまづいて。
自分でも自信作だったのにダメだしされて、ここまで伸びてしまった。

(はぁ、やんなる…)

うーんと唸って。
そして、パソコンのそばに置いてある携帯を何気なく横目で見た。
なんか、見ているとすごく何か期待しちゃうのが自分でも不思議。

携帯の機種の中では一番シンプルな形の携帯。
コンパクトな折りたたみも、心揺れるけど。
でもあれって結構、かさばるしそれに一々開かなきゃかかってきた相手がわかんないのよね。

だけどこれはすぐにわかるの。誰からかかってきたのか。
それにそれなりの楽しみ方はあるんだし?

「ほーら」
パカ、と夢見がちの頭を軽く叩かれた。
「いたーい。」
叩かれた頭にすぐに手をやる。
大して痛くはないけれど一応は意思表示。
するとキョウコが鼻で笑って。
「ほらほら。可愛い恋人の事を考えてたら、いつまでも~逢えないよっ」
スバリと容赦なくそういわれる。
「…それは、困るわ。」

これ以上、逢えなくなったら私ちょっと壊れるかも。
今でも気を抜くとストーカーしに行きそうなんだから。
これでも、一応はキチンとした大人なんだから。

だから、とりあえず休憩は終わり。
私はピンと姿勢を正してディスプレイに向かう。
「そうよね、頑張るわ!」
「そうそう、愛しのユキヒコ君のためにガンバレー」
「おーっ」

そうよね。
カレンダーを見てはもう少し、もう少し。
もう何回も何回も、それだけを思い浮かべて乗り切ってきた。

これがハネた後は、しっかりと美味しいものいっぱい食べて、
肌荒れだったのを睡眠で補ってキレイにするわ。

そう思えば、それだけで楽になれる。
頑張ろうって気になってくる。

頭の中の可愛い恋人が私に向かって微笑んでいる。
やっぱり私の心のビタミンだわ。

fin