「歴女先生教えて~」 第二十話
期末試験が終わって、短縮授業に変わって一学期も残り少なくなっていた。
長い夏休みに高木はどこかに遊びに行こうと加藤を誘った。
「バイトして稼ぐから、盆休み後ぐらいに旅行しないか?」
「旅行か・・・おれ少し予定があるんだよ。親父の仕事も手伝うって約束したし。悪いけど、この夏休みは無理かな」
高木はつれない加藤の返事に食って掛かった。
「40日間すべてダメだなんてないだろう?一泊でもいいから行こうぜ。親父さんのところで仕事するなら小遣い貰えるだろう?」
加藤は返事に困った。言われればそうだ。
「じゃあ、親父にいくらくれるか聞いて考えるよ。二人で行くんだよな?高木」
「そうか、頼むよ。うん?そうだよ、誰誘うって言うんだい?」
「他のクラスメートにも声掛けるんじゃないのか?」
「かけないよ。たくさんで行くのは無理だろう。泊りとなるとお金が要るしな。おれはおまえと行きたいと思っている」
「だよな。じゃあ、返事するよ。ちょっと待ってて」
その夜加藤は美穂にラインした。
「いよいよ夏休みだね。ボクたちはいつ頃出かけるのか解っていたら教えて」
美穂はスマホを見ながら、手帳を開いて勤務の予定と照らし合わせながら返事をした。
「そうね、お盆の頃にしましょう。12日か13日のどちらかね。実家の都合も聞いてまた返事するわ」
加藤はその返事を見て、高木とは盆休み後に行けるかも知れないと考えていた。後は父親からの小遣いだけだ。
夏休み前最後の社会の授業になった。
「起立!礼」
「今日で一学期の授業はお終いね。期末試験の結果が悪かった人は夏休みに復習しておいてくださいね。前回は源氏の始まりと平家の由縁を話したわよね。今日はその源氏を復活させた源頼朝と義経、その後の北条執権の話をするわ。頼朝という武将がどういう人か知っている人?」
加藤が勢い良く手を挙げた。
「では、加藤くん答えて」
「はい、父親の源義朝(よしとも)が平家との戦いで敗れて知多半島の野間で殺されて、その遺児である頼朝は伊豆へ配流、弟の義経は平泉の藤原秀郷に預けられたのです。平家に不満を持つ源氏の仲間を集めて決起して頼朝は弟の義経の働きもあって勝利し鎌倉に幕府を開きました」
「良く覚えていたわね、感心です。他に解る人?」
今度は高木が手を挙げた。
「頼朝は配流先の伊豆で地元の有力豪族北条時政の娘政子と結婚して、その勢力をバックに関東の有力豪族を味方につけ、最初は苦戦しましたが木曽義仲や義経などの働きで京都から平家を追い出し、壇ノ浦の戦いで滅亡させその後征夷大将軍を戴いて鎌倉に幕府を開きました」
「流れとしてはそうよね。よくできました。一つ質問です。負けたとはいえ平家は莫大な領地を持ち、兵力を抱え、財力もあったのに何故簡単に負けてしまった印象があるのはどうしてでしょう?」
長い夏休みに高木はどこかに遊びに行こうと加藤を誘った。
「バイトして稼ぐから、盆休み後ぐらいに旅行しないか?」
「旅行か・・・おれ少し予定があるんだよ。親父の仕事も手伝うって約束したし。悪いけど、この夏休みは無理かな」
高木はつれない加藤の返事に食って掛かった。
「40日間すべてダメだなんてないだろう?一泊でもいいから行こうぜ。親父さんのところで仕事するなら小遣い貰えるだろう?」
加藤は返事に困った。言われればそうだ。
「じゃあ、親父にいくらくれるか聞いて考えるよ。二人で行くんだよな?高木」
「そうか、頼むよ。うん?そうだよ、誰誘うって言うんだい?」
「他のクラスメートにも声掛けるんじゃないのか?」
「かけないよ。たくさんで行くのは無理だろう。泊りとなるとお金が要るしな。おれはおまえと行きたいと思っている」
「だよな。じゃあ、返事するよ。ちょっと待ってて」
その夜加藤は美穂にラインした。
「いよいよ夏休みだね。ボクたちはいつ頃出かけるのか解っていたら教えて」
美穂はスマホを見ながら、手帳を開いて勤務の予定と照らし合わせながら返事をした。
「そうね、お盆の頃にしましょう。12日か13日のどちらかね。実家の都合も聞いてまた返事するわ」
加藤はその返事を見て、高木とは盆休み後に行けるかも知れないと考えていた。後は父親からの小遣いだけだ。
夏休み前最後の社会の授業になった。
「起立!礼」
「今日で一学期の授業はお終いね。期末試験の結果が悪かった人は夏休みに復習しておいてくださいね。前回は源氏の始まりと平家の由縁を話したわよね。今日はその源氏を復活させた源頼朝と義経、その後の北条執権の話をするわ。頼朝という武将がどういう人か知っている人?」
加藤が勢い良く手を挙げた。
「では、加藤くん答えて」
「はい、父親の源義朝(よしとも)が平家との戦いで敗れて知多半島の野間で殺されて、その遺児である頼朝は伊豆へ配流、弟の義経は平泉の藤原秀郷に預けられたのです。平家に不満を持つ源氏の仲間を集めて決起して頼朝は弟の義経の働きもあって勝利し鎌倉に幕府を開きました」
「良く覚えていたわね、感心です。他に解る人?」
今度は高木が手を挙げた。
「頼朝は配流先の伊豆で地元の有力豪族北条時政の娘政子と結婚して、その勢力をバックに関東の有力豪族を味方につけ、最初は苦戦しましたが木曽義仲や義経などの働きで京都から平家を追い出し、壇ノ浦の戦いで滅亡させその後征夷大将軍を戴いて鎌倉に幕府を開きました」
「流れとしてはそうよね。よくできました。一つ質問です。負けたとはいえ平家は莫大な領地を持ち、兵力を抱え、財力もあったのに何故簡単に負けてしまった印象があるのはどうしてでしょう?」
作品名:「歴女先生教えて~」 第二十話 作家名:てっしゅう