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Naturally-ナチュラリー・レベル2・side-Y-

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”あ~っもう!早くユキヒコに会いたいよぉ~・゜゜・(≧д≦)・゜゜・。エーン!!"

…しのぶさんからのメールが、絵文字入りで俺のケイタイに朝一番に届いた。
勿論、彼女からのメールは式神が音付きで知らせてくれた。

チキチキマシーン猛レースだ。


「…と、式神がそう教えてくれた。」

「相変わらず、お茶目な女性(ひと)だねぇ。」
真面目な顔して俺がそういえば、カッカッカッと柴田が笑う。
「会えないのは辛いなぁ?ユキヒコよ?」
と、俺の隣に座る高橋が意味ありげにそういった。
俺は高橋の言葉に頬を膨らまし口をすぼめる。
「俺も~しのぶさんに早く会いたいよ。」
大きくため息をついて、がっくりと机に顔を突っ伏した。
「まぁまぁ、仕方ないだろう~。アッチは社会人、コッチはしがない大学生!」
高橋が笑いながら俺の頭を撫でた。

…それは、まぁわかってるんだけどさ。
…でもさ。なんかやっぱり寂しいよ。
髪を撫でる手の感触に気持ちいいなと思いつつ、俺はそう思ってみる。

しのぶさんと会えなくなって、一ヶ月。
ちなみに今までの最長記録は二週間だった。

(こんなに長く会えないのは初めてだったりする。)

その間はもっぱらケイタイでメール交換してたりするし、写メールや声だって読んだり、聞いたりもするけど…でも、会って顔を見たいし抱きしめたい。

でもこんな時、どうやってこの寂しさを紛らわせばいいんだろう?
一ヶ月もすればもう何をすればいいのかわかんなくなる。

頭の中では愛しい愛しいしのぶさんが笑ってるし…

顔を上げて、何気に友人達の顔を見た。
相変わらずの、面々でおしゃべりをしてその合間に笑って。
はぁ、何が面白いんだろう。
なんかすごく…なんていうか、『華』がないというか。

俺の目の前には灰色の世界が見えるよ…

「…野郎ばっかり。」

ぽそり。その瞬間、友人達が一斉に俺を睨んだ。
空気の流れが変わった事に俺は目を瞬いた。
「ユキヒコ…頭の中の言葉が漏れてるぞ。」
「え?」
「わーるかったなっ」
「わぁっ?!」
途端に柴田が俺の首に腕を回して締め付けた。

「わっ、悪かったってば!ブレイクブレイク」
ぎゅっぎゅっと締め付けてる柴田の腕を俺は片手で叩いて、悲鳴を上げる。
「こンの馬鹿者!お前はこんな心優しい友人達がいるのに、その言い草はないだろうっ」
それでも聞く耳持たないと柴田は締め付ける。
「た、高橋~った、助けてっ」
俺は高橋に視線を向けるけど、それを笑って眺めてこの行為を黙認しているようだ。
俺と目が合うと、鼻を鳴らして一言。
「フフン、苦しめ。」
「ひどい~っ」
すると耳にけたたましいケイタイの着信音が飛び込んでくる。
「ん?」
柴田の締め付けが緩くなったのを見逃さず俺は、逃げ出した。

…でもこの、着信音は。
俺は慌ててカバンを引き寄せて、ケイタイを探した。

カバンから取り出すとけたたましい着信音は、きちんとしたメロディを奏で出した。
やっぱり、そうだ。

俺は友人達からすぐ離れてケイタイの画面を覗き込んでメールボックスを開いた。

『ユキヒコ、もうすぐ会えるわ!ヾ(●⌒∇⌒●)ノ わーい
週末に会おうねvチュッv』

「ふむふむ…チュッvねぇ。」
「チュッ、ね。これってやっぱ投げキッスってこと?」
気がつけば、柴田と高橋がニヤニヤしながら画面を見ていた。
「わぁっ!!」
その声に驚いて俺は慌ててケイタイを背中に隠す。
「お前、今日のおごり決定ね!」
「良かったじゃん、ユキヒコ。」
悪魔の様な微笑で2人が笑ってる。

今、俺は決してこの目の前の2人には逆らうまいと決めた。

『やっとやっとやーっと!!
週末にしのぶさんに会えるんだね!
すごい楽しみだよ。』

俺はその夜、しのぶさんにメールした。

メールを送ったというサインを見て俺は微笑む。
でもそれを送った後、俺は少し考えてもう一度メールをうった。

『だから、早く会えるように願をかけるよ!
今はその時まで、これで我慢して?』

『チュッ。』

fin