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Naturally-ナチュラリー・レベル1-

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”甘い恋は、いかが?”



仕事をしている女性って、なんかお高くとまっているイメージがあったけれど、ホントはそうじゃないみたい。

よく見ているとそこら辺にいる女の子と変わらなかったりする。

今でもそう。
コーヒーカップ片手にファッション雑誌を熱心に読んでいる。
何かの記事を目を輝かせて、ふんふんと頷いていたりする。

昼下がりのカフェ。
外に設置されているパラソルの日陰の下で。

「おもしろい?」

ちょっとそう聞いてみる。

「あ。」

しのぶさんはハッとして頬を少し赤く染める。

「あ、ら…私、おいてっちゃった?」

そういって苦笑する。

「ううん。そーじゃないよ」

俺は笑ってそれを否定した。
とんとん、と人差し指で雑誌を軽く叩いてしのぶさんをちょっと上目使いで見る。

「しのぶさん。じっと夢中になって読んでいるから、何かおもしろい記事があったのかな~って。」

「あ~。やっぱりおいてったんじゃなぁーいぃ。」

そう叫ぶが早いか、しのぶさんは手元の雑誌を閉じた。

「気にしてません、て。それは」

「でも、久しぶりのデートだっていうのに。ユキヒコをおいて雑誌にかまってるなんて…私って緊張感ないわよね。」

ピンク色の唇をツンとすぼめて、そしてため息。
俺はその仕草がなんか可愛く見えて、思わず笑ってしまう。

「ユキヒコ。」

「俺は、でもそんな貴女が好きですよ。」

何気なくさらりとそういったら、しのぶさんが固まった。
そして、俺をじろりと睨んで。

「…男前、ね。ユキヒコ。」

マニキュアの爪が綺麗な人差し指で額をこづかれる。
でも、それって…痛い。

「しのぶさん~」

俺は反射的にこづかれた額を右手で撫でた。
しのぶさんが笑い、頬杖をついた。
その拍子に長いロングの髪が流れる。

「天然でくどくのは、まだ早いわよ。でもね」

「?」

真顔でじっと見つめ返す。
その真剣なしのぶさんの表情に俺は、何事かとその続きを待った。

「今の言葉で落とされちゃったわ。腰砕け」

「あははは。」

しのぶさんの、そのおどけた言葉に俺は笑った。

「あら、何か可笑しいこといったかしら?」

涼しい表情でいうもんだから俺は笑いが止まらない。
あー、もうホントに素敵な女性(ひと)だな。
しのぶさんのこういうトコ、ホント好き。

「寂しくさせたおわびにココは私がおごるわね、ユキヒコ。」

自然な仕草でしのぶさんが伝票を持って、イスから立ち上がった。俺はその言葉に目を見開いた。

「えっ、悪いですよ。ココは俺が。」

慌てて俺もしのぶさんの後を追って立ち上がる。

「あら。いいのよ。」

「でも、」

言い募ろうとする俺を制する様にしのぶさんは俺の胸の辺りを、拳で軽く叩いて意味深に笑う。

「いいの、ココは。後でユキヒコにはたっぷりと、うんと愛してもらうから。」

その言葉に俺は顔を赤くした。
しのぶさんは俺を見上げて微笑む。

「腰砕け?でしょ?」

悪戯っぽくそう囁いた。
俺はその言葉にやられた、と思った。

「…腰砕け、です。」

あぁ、やっぱり。
この女性(ひと)には敵わない。

fin