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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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電車コンのはぶられ人

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最近、都会では「電車コン」というのが流行っている。

電車コンパの略で「パ」しか略されていないのはさておき、
出会いを求めた男女が同じ電車に乗っていく。

意気投合すると駅に降りてそのあとは食事などしていく。
ラフで現代らしいインスタントなコンパだ。

「はぁ……モテたい……」

女日照りになることはや数十年。
仕事いっぽんでこれまで生きてきたが浮ついたこともしたくなる。

プシュー。

「永福町ぉ~~永福町ぉ~~」

電車が止まり、出会いを求めた男女がホームからぞろぞろ乗り込む。
窓ガラスから見てもきれいな女性はたくさんいる。

プシュー。

「明大前ぇ~~明大前ぇ~~」

電車が次の駅に着くころには、
キレイな女性はイケメンと肩を並べて去っていく。

ガラス越しに遠ざかる背中に「あぁ……」と切ない声が漏れる。

「はぁ……俺はいつもこれだ……」

電車はしずかに発信する。
みんな俺が電車コン参加者だと気付いていないのか。
そんなことはない。
この電車のことは俺が一番知ってるわけだし、焦ることはない。

まだ駅はいくつもあるし、終点についたら売れ残りメンバーで
なし崩し的に仲良くなるに決まっている。


プシュー。

「終点渋谷~~渋谷ぁ~~」


電車が止まると、乗客たちはぞろぞろと降りていく。
誰もが売れ残った者同士でカップルになっていく。


「なぜ俺だけ相手にされないんだ!?」


電車にひとり残されたのは俺だけだ。
俺のいったい何がいけないんだ!

男は背中で語ると聞いたことがあったのに!
背中じゃ加齢臭くらいしか伝わらない!


「……ということがあったんだ」

その日、友達に相談してみることにした。
自分でも気づけない部分が友達にはわかるかもしれない。

「原因わかったよ。お前がモテない原因」

「ほ、ほんとか!」

「そりゃお前、自分から声をかけてないだろ」

「そ、それは……」

そうかもしれない。
思い返してみると、俺は自分のことで頭がいっぱい。

もしかしたら、相手が声をかけられるのを待っていたかもしれない。

「わかったよ! 俺がんばって声かけてみる!」

「おう。男らしくビシッと決めてこい!」

友達に後押しされて電車コンにまた参加した。
今度は前回の俺とは違う。

「いかに声をかけてもらうか」で必死だった守りではなく
「いかに声をかけてやるか」と攻めの姿勢。

きっとうまくいく。

「へい、彼女。俺と一緒にパーティしない?」

最高にイケてるナウい誘いをぶちかました。
彼女は焦った顔で言い返した。



「車掌さん!! いいから運転席に戻ってくださいよ!!」