冒険者の村の恐ろしい…
その中でも特に被害者の多かったモンスターがついに捕まった。
モンスターは取調室のような密室に隔離された。
そこに一人のスーツを着た男がやってきた。
「お前が冒険者数十人を殺したモンスターだな?」
「ガウガウガウウ! アグゥアアア!」
「そういうのいいから」
「すみません普通にしゃべります」
「お前が問題のモンスターだな?」
「数十人なんて笑わせる。オレ様が命を奪った冒険者は
そうだなぁ、数百人はくだらないぜ」
「なるほど」
男は顔色をかえない。
モンスターは脅かしてやろうと、
自分の恐ろしさでビビらせようとか考えた。
「おい、オレ様の一番の武勇伝を話してやろう」
「武勇伝? 聞きたいな」
「今までで一番の敵は、勇者パーティの10人だったな。
高い防具や武器を身に着けていたが、全員ぶっ倒してやったぜ!」
「それは恐ろしい」
気を良くしたモンスターは言葉を続ける。
「こないだは歴戦の勇者を喰ってやったぜ!
どんなに手ごわい相手でもオレ様の敵じゃねぇ!」
「なんて怖いんだ」
「で、どうする? 殺すのか? 引きずり回すのか?」
モンスターは開き直って挑戦的な目を男に向ける。
「言っておくが、お前らだってオレの同胞を殺しただろ!
今さら許してもらおうなんて思わないぞ!」
「わかった」
男はモンスターを連れ出す。
いったいどこで殺されるのか。
ひたすら苦しめられるのか。
「おい、いったいどこへ連れて行くつもりだ!」
「お前はこの村から一番遠い村に飛ばす」
「殺すのすら怖いから、せめて一番遠い場所に置くってわけか」
「それはちがう」
「え?」
「私はマフィアだ。君が行方不明になった方が仕事がしやすい。
人が消えても恐ろしいモンスターのせいにできるだろ?」
作品名:冒険者の村の恐ろしい… 作家名:かなりえずき