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秋月あきら(秋月瑛)
秋月あきら(秋月瑛)
novelistID. 2039
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ぺんにゃん♪

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「それは結構なことだ、実に素晴らしき。我が息子も昔テレビでやっておった『ぺんぺんのマジカル大冒険』が好きだった。我が輩と同じ奇術を使うペンギンが、空を飛んだり、悪党を懲らしめたりする……そんなアニメだったか?」
 この奇術師を名乗る男は、どこからか一枚のチケットを取り出した。
 ?少女?がそれを受け取ると、シルクハットの男はマントを翻して歩き出した。
「また運命が交差すれば出逢えることもあるだろう。さらばだ未来ある少女よ、はっははっ!」
 風のようにシルクハットの男は消えてしまった。
 ?少女?の手元に残ったチケット。それは水族館のチケットだった。
 水族館はすぐ目と鼻の先だった。
 ?少女?は誘われるように水族館に向かった。
 平日でも水族館は人で溢れかえっていた。
 何種類もの魚たちや海の動物たちがいたが、?少女?の目的は一つだった。
 ――ペンギンの水槽。
 生のペンギンを見たのはこれがはじめてだった。ペンギンはおろか、水族館にきたのでさえはじめてだった。
「これがぺんぎん」
 愛らしい姿で歩くペンギンたち。そうかと思うと、水の中では驚くほど俊敏に華麗に泳ぐ。
 まるで空を飛んでいるようにペンギンたちは水の中を泳いでいる。
 ?少女?は今見ているすべてを心に刻んだ。
 この記憶は数少ない?少女?の大切なモノとなる。
 絶対に忘れない。
 ?少女?は時間の経つのも忘れ、ずっと水槽に張り付いて見ていると、
「ペンギン好き?」
 女の声でハッとした。
 白衣を着た女がタバコを吸いながら水槽の前に立っていた。
 ?少女?は鋭い眼で女を睨み付けた。
「ぺんぎんの前でタバコ吸わないで」
「きっとペンギンだってタバコ吸いたいわよ」
「そんなはずないだろ!」
「アタクシの故郷のペンギンはタバコも好きだったし、空も飛んでたわ。こっちの世界のペンギンは……ただ可愛いだけね」
 まだ?少女?が睨んでいることに気づいて、女は火のついたタバコをそのまま白衣のポケットに入れた。
 ?少女?は女のことを無視して再びペンギンに魅入ろうとした。
 だが、
「ペンギンのこと好き?」
「…………」
「ねえ、ペンギンのこと好き?」
「…………」
 ?少女?は仕方がなく頷いた。
 すると女は笑った。
「もっと素直にしてたほうが可愛げがあるわよ。ねえ、ペンギンになってみない?」
 唐突な言葉に?少女?は理解こそできなものの、なぜか大きく頷いていた。
 そして、?少女?はペンギンのヒナへ……