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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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右側にあるのが嫁ガチャ!

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結婚適齢期を過ぎた男は焦っていた。
このままでは孤独死するのではないか。

男は迷い迷ってなぜか教会へやってきた。

「ようこそ、無神論者の身の程知らずな迷える子羊よ」

「ああ、神父様。俺はこれまでの人生を反省しています。
 生まれてきたことまでさかのぼって懺悔します。
 ですから、結婚させてください」

「懺悔は心の救済です。どんなに懺悔しても今は変わりません」

「そんな……」

「ですが、救う方法はあります」

神父が奥へ案内すると、ガチャガチャが2つ用意してあった。

「これは嫁ガチャ。カプセルを明ければ嫁が現れます」

「そんな便利なものが!!」

「ただし、1回だけです。開けられるのは1回きり」

教会なだけに不貞に厳しい。
一度でも嫁ができればそこはもう乗り換えられないんだろう。

「やりますか?」

「当然です!!」

2台並んでいるガチャガチャの右の台へと近づく。
台には「1回1万円」と書かれていた。

ガチャガチャとしては異例の値段設定だが、
これで嫁が手に入るとなれば良心的に見えるから不思議。お金マジック。

「よ、よし……!」

1万円を投入し、取っ手をひねる。


ガチャッ。


カプセルが1つだけ出てきた。
カプセルの底には「SR」と書かれていた。

「これは?」

「SR、スーパーレア。そこそこって意味です」

「なるほど……」

おみくじで言う小吉。

カプセルの透明な部分を見てみると、
フィギュアのように小さな女性が入っていた。

「すごい、本当に女性が入ってる。なんかジャンプして手を振ってますよ」

「ええ、嫁ですから。基本的に出した人を好きになるんですよ」

ここで開けるのも気恥ずかしいので、家に持って帰る。
その道中、冷たい外気に冷やされてふと冷静になった。

「俺、この嫁でいいのかな……」

カプセルを見てみる。
中に入っているのはそこそこの女性。

どこかの町ですれ違う確率50%のありふれた感じ。

もっと回せば、もっと美女が出てくるかもしれない。

「まだ俺はカプセルを開けてない! ノーカウント! ノーカウント!」

慌てて教会に戻った。
途中にあったコンビニで全財産を引き出して。

「おや、また来たんですかおろかな迷える子羊」

「ガチャガチャをやりに来ました!」

「そんなことだろうと思ってました。
 あのガチャをやった人の大半は1回では満足しません」

2台並ぶガチャガチャへ戻って来た。
さっきのガチャガチャ台へ近寄って、台越しに中のカプセルをうかがう。

「お、おお……! ある! あるぞ、美女が!」

たくさんのカプセルに埋もれながらも美女がいる。
間違いなくこれはアタリだろう。

「俺はまだ結婚してません! だから挑戦していいですよね!」

「嫁をえり好みするその精神には反吐が出ますが、
 私に止める理由はありません」

俺はふたたび1万円を突っ込んだ。

ガチャッ。
R(レア)

中には12ラウンド戦ったボクサーの顔のような人。

「くそっ……ハズレか!」


ガチャッ。
SR(スーパーレア)。

中にはどこにでもいそうな幸の薄そうな人。

「うーーん、もうひと声」


ガチャッ。
N(ニュートラル)。

中には、限りなくおじさんに近いおばさん。

「ちくしょおおおお!!」


ガチャッ。
PR。


「……PR?」

「パラレルレアですよ。すごいですね。
 確率は0.01%なんです」

「えええ!?」

カプセルを覗くと中にはグラマラスでモデル顔負けの美女。
こんな子と結婚できるなんて!

「やったやったぁ!! こんな女性と結婚できるのなら
 給料を全部吸い尽くされたあげくに毒殺されてもいい!!」

「おめでとうございます」

俺は髪の毛を整え、口臭をケアして、パンツをはきかえて、
緊張しながらカプセルを開けた。

中からは、大量の煙とともに美女が飛び出した。




そして、空いたカプセルには入れ違いで俺が閉じ込められた。

神父は俺の入ったカプセルを左のガチャガチャ、
「婿ガチャ」の方へと入れた。

カプセルの底には「K(クズ)」のアルファベットをふって。