新世界
ザザ~、バシャバシャ、、、、、
波が崖にぶつかる音、心地良い。
そぉっと下を覗いてみた、強い風が吹いて体があおられ落ちそうになったが、隣にいる君に腕を引かれた。
なんで?とキミを見ながら首をかしげた。
「一緒じゃなきゃ、意味がない」
そうだね、と私は笑った。
夕日もだいぶ落ちてきて、あたりは薄暗くなっている。
ポケットの携帯がなった。
私は誰からの電話かも確認することなく、それを海に投げ捨てた。
「本当に、後悔はしてない?」
「なんで?君と一緒なら何も怖くないよ」
「そっか」
君は私の答えを聞いて安心したようだ。
つないでいた手をさらに強く握った。
「あっちの世界はどんなふうかな?」
「どうかな、僕にはわからないけど、、、、すべてがうまくいく」
キミは笑顔で答えてくれた、大好きな笑顔で。
二人で大きく息を吸って
一歩前に大きく踏み出した。
ザバーンブクブク、、、、、ポコポコポコ
さほど痛さは感じなかった
ただ目を開けるとたくさんの泡がブクブクと鈍い音たてながら水面に上がっていった。
つないでいた手が離れそうだったので、強く握った。
でも、キミは握り返してこない。
横を見てみると、キミは目を閉じて水に身を任せ、動かなかった。
あぁ、、キミは先に行ってしまったんだね。
キミにはおいて行かれちゃったけど、すぐに追いつくからね。
だんだん視界がチカチカと暗くなってきた。
もうすこし、、もう少しだからね。
さようなら旧世界
そして世界が途切れた