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ねぇなんで。

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prologue
ねぇ、なんで?

こんなにも愛しているのに、なんで君は…。
なんでわかってくれない?
あなたにされる塩対応は苦しいよ。

わかってもらえないことが、
相手にされないことが、
一線を越えられないことが、
どれだけ苦しいか君にわかる?
わからないよね。だって君には君を理解してくれる人がいる。

死ぬ時の君の顔、あんな怯えた顔は君には似合わない。
私が君に恋したあの日、あの日みたいな笑顔を見せて。
最期ぐらい…笑ってよ…。
笑った顔、見せて。

君のそばに、立っていたかった。
ずっと。ずっと。これから先も。
君を幸せにしたかった。
本当はこんなことしたくなかった。

「ずっと君が…好きだったんだよ」

「改ページタグ」

第1話 10年前の独白
10年前。俺は澪那と出会った。
あの頃は、つまらなそうな奴だと、そう思っていたんだ。

ハガ、と言う名の母さんの先輩が近所に引っ越してきたのはある夏の日のことだった。幼稚園が夏休みに入ってすぐだった。
忘れもしない7月20日。海の日。
「かけるー。今日先輩に挨拶しに行くわよ。準備して」
母さんはそう言い、今朝炊いたご飯でおはぎを作り始めた。
俺はよくわからなかったのだが、とりあえず出かける、と言うことは理解できたのでパジャマから私服に着替え、カバンを持って靴を履いた。
しばらくして母さんが大きな手提げを持って来た。母さんはなんとか靴を履き、2人で家を出た。

「襅ちはや先輩!遊びに来ましたよ♪」
その先輩は芳賀襅、と言う名前だった。名前のせいもあるだろうが、少々性格の歪んだ人だった。
「あらぁ。茅乃かやのじゃない!久しぶり!あらぁ。息子さん?」
「はい!天翔かけるって言うんですよ♪」
「可愛いわねぇ」
「そんなことないですよぉ」
「紹介するわね。澪那れおなよ」
ショートカットの女の子。
「お嬢さん可愛いですね」
「娘!って言えればいいんだけど男の子なのよ」
「え!本当ですか?」
「嘘吐きたいわよ私だって」
「娘さんが良かったんですね…」
「ホントよー。俊也としやさんが言ってたんだけどね。私男の子だ!って認めなかったのよ。だって女の子が欲しかったんですもの」
「可愛いお洋服とか買えますもんね」
「そうなのよ!」
「ところで、どこか出かけますか?おはぎ持って来たんです」
「近所の公園とかどうかしら?」
「いいですね!」
「天翔、澪那…ちゃんと遊んでてね」
母さんは女の子が欲しかった、と言った先輩に気を使ってちゃん付けしたようだ。
「ん」


しばらく、公園の砂場で澪那とトンネルを掘って遊んだ。あの頃は…つまらなかったなぁ…。


小学校に上がって、なんだか疎遠になっちゃって、寂しいと、感じるようになった。
やっぱりまた仲良くして、何を話したっけ。
あの頃からかな、澪那のこと、もっと知りたいって思ったんだ。
作品名:ねぇなんで。 作家名:月光蘭