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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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地球アップデートしますか?

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新しい地球のバージョンがあります。
アップデートしますか?

→今すぐ更新
 更新しない
-----------------------

地面から小さな広告が表示されたのは1週間前。
最初はイタズラだと流されていたものの、
どんなに犯人を捜しても出所を探しても見つからない。

「これ、もしかして本当に地球からなんじゃ……」

誰が言ったのか、その言葉で世界は大混乱した。
すぐさま各国の偉い人が招集されて会議が行われた。

「地球のアップデートなんてイタズラだ!」

「しかし、いくら探しても人間業ではできないんですよ!」

「それで……アップデートはするんですか?」

「「「 ………… 」」」

偉い人たちは困ってしまった。
なにせアップデートするかどうかのことしか出ていない。

「アップデートしたら……なにか良い事あるんだろうか?」

「エイリアンからの情報攻撃への対策があるとか?」

「それなら早くアップデートしたほうがいい!
 今こうしている間にも敵の脅威にさらされているかもしれないぞ!」


「いや、待て! そう決めるのは早い!」

アップデート派に傾きかけた流れが一転した。

「アップデートこそ敵のワナだったらどうする?」

「それに、アップデートで今より地球が使いにくくなるかも」

「今で十分なのにわざわざアップデートする必要なんてないわ!」

完全に意見がわかれてしまった。
いくら言葉を重ねても平行線でどうしようもなくなる。

「もうだめだ! これじゃアップデートするかどうか決められない!」

「それなら国民で多数決を取りましょう!」

「そうだ! 俺たちだけで決めて良いことじゃない!
 この地球はみんなのものなんだから!」

丸投げという形でいったん収束した会議。
けれど、判断を国民側へスライドさせても意見は分かれた。


Q.地球をアップデートさせますか?


「アップデートした方が良いに決まってる!!」
「アップデートしたら改悪されるかもしれない!!」

アップデートするかどうかの国民投票が行われた。
視聴率は120%を超える注目度。
誰もが地球の今後を気にしていた。

全人類が見守るなか、開票作業が行われ、ついに結果が出た。



アップデート賛成:39%
アップデート反対:61%


「投票の結果、アップデートはしません!!」

国民の意見は、現状維持を求めるものが多かった。
誰もが認める公平さで行われた投票に不正を挟む余地はなかった。

国民の声で背中を押された偉い人たちは、
地球アップデート告知の場所へと向かった。

「さぁ、それでは"更新しない"ということでいいですね」

「異議なし」「異議なし」「異議なし」

「では……」

更新しない、の方を選択しようとしたそのとき。
突如、催涙弾が投げ込まれあたりは煙に包まれる。

「なっ……ごほごほっ……! 何事ですか!?」

煙はすぐに追い払われたが、目の前の光景は絶望そのものだった。


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地球アップデートを実行中

・・・・・・・     40%
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「大変だ! アップデートが実行されてる!!」

「くそ! どうすればキャンセルできる!」

「バカ! 今キャンセルしたらもっとひどいことになるぞ!」

アップデート賛成の過激派が強硬手段に出てきた。
すでに地球の更新が始まってしまいもう止められない。

地球アップデートはすぐに完了した。


○更新内容 1件
・新たな動物の環境に対応しました



「……え? これだけ?」

「アップデートって……動物の環境に合わせただけか」

「騒ぐほどの大きな変化じゃなかったな! あっはっは」

アップデート内容を見て誰もが拍子抜けして終わった。
1年後、世界は平和になった。



アップデートにより地球環境になじめた新動物「武装動物」。
クマや、オオカミやらが重火器で人間を絶滅させるのに1年がかかった。

1年後、世界は平和になり、元の緑豊かな大地を取り戻した。