地球アップデートしますか?
新しい地球のバージョンがあります。
アップデートしますか?
→今すぐ更新
更新しない
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地面から小さな広告が表示されたのは1週間前。
最初はイタズラだと流されていたものの、
どんなに犯人を捜しても出所を探しても見つからない。
「これ、もしかして本当に地球からなんじゃ……」
誰が言ったのか、その言葉で世界は大混乱した。
すぐさま各国の偉い人が招集されて会議が行われた。
「地球のアップデートなんてイタズラだ!」
「しかし、いくら探しても人間業ではできないんですよ!」
「それで……アップデートはするんですか?」
「「「 ………… 」」」
偉い人たちは困ってしまった。
なにせアップデートするかどうかのことしか出ていない。
「アップデートしたら……なにか良い事あるんだろうか?」
「エイリアンからの情報攻撃への対策があるとか?」
「それなら早くアップデートしたほうがいい!
今こうしている間にも敵の脅威にさらされているかもしれないぞ!」
「いや、待て! そう決めるのは早い!」
アップデート派に傾きかけた流れが一転した。
「アップデートこそ敵のワナだったらどうする?」
「それに、アップデートで今より地球が使いにくくなるかも」
「今で十分なのにわざわざアップデートする必要なんてないわ!」
完全に意見がわかれてしまった。
いくら言葉を重ねても平行線でどうしようもなくなる。
「もうだめだ! これじゃアップデートするかどうか決められない!」
「それなら国民で多数決を取りましょう!」
「そうだ! 俺たちだけで決めて良いことじゃない!
この地球はみんなのものなんだから!」
丸投げという形でいったん収束した会議。
けれど、判断を国民側へスライドさせても意見は分かれた。
Q.地球をアップデートさせますか?
「アップデートした方が良いに決まってる!!」
「アップデートしたら改悪されるかもしれない!!」
アップデートするかどうかの国民投票が行われた。
視聴率は120%を超える注目度。
誰もが地球の今後を気にしていた。
全人類が見守るなか、開票作業が行われ、ついに結果が出た。
アップデート賛成:39%
アップデート反対:61%
「投票の結果、アップデートはしません!!」
国民の意見は、現状維持を求めるものが多かった。
誰もが認める公平さで行われた投票に不正を挟む余地はなかった。
国民の声で背中を押された偉い人たちは、
地球アップデート告知の場所へと向かった。
「さぁ、それでは"更新しない"ということでいいですね」
「異議なし」「異議なし」「異議なし」
「では……」
更新しない、の方を選択しようとしたそのとき。
突如、催涙弾が投げ込まれあたりは煙に包まれる。
「なっ……ごほごほっ……! 何事ですか!?」
煙はすぐに追い払われたが、目の前の光景は絶望そのものだった。
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地球アップデートを実行中
・・・・・・・ 40%
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「大変だ! アップデートが実行されてる!!」
「くそ! どうすればキャンセルできる!」
「バカ! 今キャンセルしたらもっとひどいことになるぞ!」
アップデート賛成の過激派が強硬手段に出てきた。
すでに地球の更新が始まってしまいもう止められない。
地球アップデートはすぐに完了した。
○更新内容 1件
・新たな動物の環境に対応しました
「……え? これだけ?」
「アップデートって……動物の環境に合わせただけか」
「騒ぐほどの大きな変化じゃなかったな! あっはっは」
アップデート内容を見て誰もが拍子抜けして終わった。
1年後、世界は平和になった。
アップデートにより地球環境になじめた新動物「武装動物」。
クマや、オオカミやらが重火器で人間を絶滅させるのに1年がかかった。
1年後、世界は平和になり、元の緑豊かな大地を取り戻した。
作品名:地球アップデートしますか? 作家名:かなりえずき