『 私がそこに居ます 』
私は既に、私ではなかったのです。
しかし、私は私であり、日々、呆然として過ごしているうちに、それもまた輪廻転生分の一なのではないかと考えるようになりました。
それ以外、私を癒す考え方は無く、突然、振り向いて誰かに聞いてみたくなったのです。
私は誰に見えますか。
誰もがあなたは貴方ですと言うでしょうが、そこに現れる飛蝗(バッタ)を見ても、笑って生きることは出来るのでしょうか。
その時から私は何かと誰かに怯えているように思います。
他が誰でも構わないのに、私だけは私でなければならないというのはエゴでしょうか。
私は鏡を覗き込み、今日も自分が変わっていないことを確認し、目の上のシミを見つめています。
誰かが誰かに見えたとしても、その人は笑って「私は私です」と言うのでしょう。
私はいつか、言ってみたいのです。あなたに向かって。
あなたは私です。私が、そこに居ます。
作品名:『 私がそこに居ます 』 作家名:みゅーずりん仮名