掴めないもの
しあわせねと
ひとにいわれたら
そうおもうことにする
幸せというものを掴もうと
手をのばしても
どこにあるのか見えないよ
絵に描いたような幸せの情景だったと
或るとき友がいったことがある
庭の芝生でゴルフのバットを振る夫
広いつばの麦藁帽を被って
筵の上でヨガをしていた私
向うの家の廊下では
母が日向ぼっこをしていた
日常だった私の暮らし
いまは誰もいない庭他人の棲む母の家
そういうこともあったなあと
彷彿するあのころ
幸せとはそんなもの
でもまた…
新しいしあわせが生れる
あの時この世にいなかった少女が
わたしに笑顔を向ける
少し弱くなった身体だけど
まだまだげんきだよ
わたし
今の幸せだって掴めないけれど
あのころはしあわせだったと
思い出すのだろうねそして
永久の幸せを掴めるかもしれないね