映画 戦国生徒会
一同、近藤の話に注目した。想像ではなく、核心に迫る話のようだったからだ。
(金城ミリア)「死神さんのことでしょ」
(近藤彰正) 「ああ、俺もそう思ってたんだけど、違う気がする。付き合い始めたって言ってたから」
(椋ノ木優愛)「死神さんとは、もっと前からの付き合いのはずだわ。キッド君とも付き合ってたなんてあり得ないわ」
(福田悠人) 「香織ちゃんと別れてすぐだぞ。まさかキッド、佐藤さんが原因で別れたんじゃ」
(津田柚華) 「それはないと思う。カオちゃんも自分のせいで、納得して別れたって言ってたもん」
(山崎凜花) 「恵美ちゃんなら、キッド君のお姉ちゃんみたいな存在だから、何か事情を知ってたんじゃない? 今日テニスにも付いて行って、ちづちゃんにも妙に説明的に報告してたし」
(福田悠人) 「お前の勘、鋭いからな。確かにそんなふうに見て取れたな。やっぱり二人は交際してるのか」
(中川豊) 「総合的に考えると、こんな話、あり得ないんじゃないか? 佐藤さんが、二股かけてたってことだぞ」
(山崎凜花) 「あ、言っちゃった」
(一同) 「・・・・・・」
暫く、沈黙に包まれた。
「ご注文はお決まりですか?」
ウェイターがやって来て聞いた。
(中川豊) 「すみません。もう少し待ってください」
(近藤彰正) 「二股か。こんなこと言っちゃいけないと思うけど。もし、もしもだよ、もしキッドと佐藤が付き合ってるとしたら、すべて辻褄が合う気がする」
(椋ノ木優愛)「ちづちゃん、夏休み中、誰かに会うから忙しいって言ってたの。それがキッド君だったのかしら」
(中川豊) 「待てよ。佐藤さんは、死神さんとは、もう別れたはずだったんじゃないかな。俺らが初めて死神さんに会った時、佐藤さんは、元カレって紹介したぞ」
(近藤彰正) 「覚えてる。交際を隠したがってるのかと思ったけど」
(桐谷修斗) 「じゃ、今、楽屋は修羅場ってことですよね。放っといていいんですか?」
(中川豊) 「あれ? 桐谷、いたのか?」
スタッフ全員、注文もせずに席を立ち、レストランを出た。向かった先はもちろんライブハウス。