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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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映画 戦国生徒会

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 2年生が中心となって、様々なクラブやクラスから集まったメンバーは、まだ面識が浅い。
「主役は木田(博之)君で問題ないな」
監督の中川豊が博之を推した。中川はみんなが認める映画オタクで、頭もなかなか切れる。博之ならアクションシーンに期待出来た。というのも集まっている生徒のほとんどが、文化部系の生徒ばかりで、体育部系の生徒は少なかったからだ。
 脚本は演劇部女子部員の津田柚華が担当する。
「ストーリーは、文科系クラブと体育系クラブが、生徒会が運用するクラブ費の争奪戦を繰り広げる内容となります」
元ネタは高橋留美子の古い漫画『戦国生徒会』に由来するドタバタ喜劇である。

「ある程度のエキストラが必要になると思うんだけど、大丈夫かな?」
博之は、自分が主人公になることを快諾したものの、映画という未知の製作に不安を隠せない。
「その点については、クマさんがいろいろ声を掛けて協力依頼をしてくれるので、大丈夫と思う」
「学校自体の協力が必要になってくるんじゃない?」
津田もステージ上の演劇ならイメージできるものの、屋外撮影で演じるということに経験が無い。
「うん。クマさん自身も出演予定だし、他の先生にも頼んでくれることになっている。それに全校集会のシーンなんかは、実際の朝礼の時に撮影出来るように許可も取るから」
中川の計画に一同納得である。
「でも、主人公の生徒会長と恋に落ちる、副会長役の女子はどうすんだ?」
野崎賢斗が聞いた。彼は中川の連れで雑用で参加しているお調子者である。
「それが一番の問題だ。副会長役だけじゃない。体育系クラブのリーダー『龍子』役の女子も必要だ」
「ここにいるメンバーじゃ、イメージに合わないわよね」
津田自身も苦笑いしながら言った。協力してくれる演劇部には他にも女子はいたが、はっきり言って残念なタイプばかりだ。
「そこで木田君(博之)。ものは相談なのだが、滝本さんに協力してもらえないかな?」
滝本香織は、博之が高一の時からの彼女である。この中川の安直なアイデアは一番現実的と言える。野崎も「そうだそうだ」と囃し立てた。博之も別に異論なかった。何より大好きな彼女との、青春の思い出作りにはもってこいだ。
 早速その日、映画の出演について、香織の自宅で聞いてみることにした。

作品名:映画 戦国生徒会 作家名:亨利(ヘンリー)