映画 戦国生徒会
第1章: 自主製作映画
「映画を撮らんか?」
高二の春、まだ桜の木にわずかに残る花びらが、何とか新学年への期待を維持させている頃、木田博之は担任教師のクマ先生から、秋の文化祭に向けて映画を撮影しないかと勧められた。
クマというのは、担任の風貌が怖い訳ではなく、授業中に教室をうろうろと動き回る姿が、まるで檻の中の熊のように、かわいかったから付いたあだ名である。
「映画ってどうやって撮るんですか?」
クマ先生は地元ではちょっと有名な劇団に所属していた。学校では、演劇部の顧問をしているが、視聴覚教室の管理責任者もしていて、そこの機材を自由に使える立場だった。
博之は体操部に所属しているのだが、そこは大した実績のないクラブで、週に2度、体育館で鉄棒やマット運動の練習をしながら、格闘技ごっこをするくらいの活動内容だったので、時間は十分にある。
演劇部の協力も含め、すぐに10人あまりの有志が集い、自主制作映画の企画が進行した。そして彼らは、これから経験する毎日が、高校生活で最高の思い出となることを、まだ知る由もなかった。