アニマルビデオ
【著】大島恭平
3人の社会人
・高柳
・桜坂
・森吉
●場所は高柳の部屋。
仕事終わりの飲み帰り。
高柳「ただいま~」
桜坂・森吉「おじゃましまーす」
高柳「散らかってますけど、お入りよ」
森吉「いや、なんか急にごめんね!無理言って泊めて貰っちゃってさ」
高柳「いいのいいの、どーせ帰っても寝るだけなんだから」
桜坂「つい話に夢中になっちゃって、気がついたら終電終わってたっていうね」
高柳「あーバック適当に置いといて。」
森吉「お、サンキュ」
桜坂「よいしょ」
高柳「その辺に何となく座ってくれや」
●二人ともバックを置き、適当に座る。
三人「はぁ~…」
森吉「なんか、落ち着いちゃったな」
桜坂「そうだなー」
高柳「とりあえず、デリヘルでも呼ぶか」
森吉「よばねぇよ!来た娘が一番びっくりするわ」
高柳「冗談だよ」
桜坂「冗談かぁ~~!」
森吉「そんでお前は何本気にしてんだよ」
桜坂「いや、無しではな…」
森吉「無しだよ」
高柳「お?そしたら本当に電話してみっか?」
森吉「まじかよww」
●高柳、携帯を開く。
高柳「あ、わり。彼女から電話来てたわ。ちと、外で電話してくる」
森吉「ん?そうなの?」
桜坂「デリヘルからじゃなくて?」
高柳「向こうから電話はこねーだろ!」
森吉「え?お前の彼女ってデリヘルなの?」
高柳「ちげーわ!!まぁ…電話すれば…すぐうちに来てくれっけどな!」
●捨て台詞を吐いて、ハケ
二人「しねぇ!!!!!」
高柳(声だけ)「あ、適当にテレビとか付けてくつろいでてー」
二人「へーーーい」
●桜坂、テレビのリモコンをピコピコいじる。
桜坂、モニターに映し出された映像をじっと見る。
しばらくして、森吉もモニターをみて
森吉「ん?……あ、AV…」
●画面には、AVの一時停止画面。
森吉「えー………これは流石にちょっとなー……」
桜坂「まぁ………」
●二人顔を見合わせて
桜井「これでいっか!」
●桜坂、再生ボタンを押そうと、テレビにリモコンを向ける。
森吉「いや、待て待て待て!!なんで再生しようとすんのよ」
桜坂「別にこれでいっかなーって。」
森吉「流石に男二人でAVを見たくないわ。」
桜坂「なんで?」
森吉「分からんだけど、こー気持ち的な問題だよ!なんとなく気持ち悪いんだよ!」
桜坂「分からないなー」
森吉「いいから、それ消して!なんか嫌だから」
桜坂「いや!ここは敢えて付けておこうぜ」
森吉「なんでよ?」
●桜坂、高柳が出て行った方を見ながら
桜坂「その方が、面白いから」
●森吉、急に悪い顔になり
森吉「確かにそうかもれない!」
二人「クククククーお主も悪よの~」
森吉「あ、戻ってきた」
●二人とも、無表情のままテレビを見つめる。
高柳、帰ってくる
高柳「いやぁ~お待たせ、なんか彼女が今度部屋探しに行こうだってさ~ついに俺も、二人暮らしか。」
●高柳、二人の間に座り、一瞬テレビをチラ見して
高柳「まぁ、とりあえず軽く飲み直しますか~俺はとりあえず生で」
森吉「待てー!!!」
高柳「何だよ」
森吉「え?何くつろごうとしてんの?」
高柳「え?ここ俺んちだけど?」
森吉「そうじゃなくてー!状況が状況でしょ!?」
高柳「状況って?」
桜坂「AVの一時停止画面がテレビいっぱいに映し出されてる。」
森吉「だよね?それでよく飲み直そうとしたね!しかも一回チラ見して絶対目があったでしょ!画面の中と!」
高柳「まぁ」
森吉「え?焦らなかったの?」
高柳「焦ったよ?てか今も焦ってるよ?彼女との電話の後にこんな映像見せられたらいろいろ誤解されてるんだろーなーとか。どういう言い訳をしてこの場を乗り切ろうかなーとか。で、いろいろ考えた結果、とりあえずー飲んでから考えようと。」
森吉「逆にすげー発想だな、おい。」
桜坂「もういっそ、みんなで鑑賞会しようぜ」
森吉「その発想は絶対ない」
高柳「ありだな!」
●高柳・森吉、二人で見つめあい
高・桜「ありだな」
森吉「ねぇーよ!!!だったら最初のデリヘル呼んだ方が全然ありだわ!」
高・桜「それはないわー」
森吉「なんなんだよ、お前ら!」
おわり