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藍城 舞美
藍城 舞美
novelistID. 58207
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ギタリストに1輪のバラを 第6回 EPILOGUE

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 病院の帰り、行きとは全く違う雰囲気の中で、ヒサトはタクヤの提言で、自分の病気が奇跡的に治癒したことをテルユキ、ヒロミツ、ペドラに携帯電話で伝えた。言うまでもなく、全員が喜びの声を上げた。ヴォーカルのテルユキに至っては、DEAR PEARLとそのスタッフ陣で飲み会をしようとまで言ってきた。ヒサトが快諾しなかったわけがない。

 あと100メートルで自分たちの住んでいるアパートに着こうとしたとき、2人は大柄で腰の曲がった、白塗りに近い顔の1人の老婆の姿を見た。タクヤは
「あ、ど〜も」
 と軽い挨拶をしながら彼女に近寄った。女性のほうも、
「あら、どうも」
 と挨拶を返した。驚いたヒサトは、一瞬タクヤの顔を見て、
「えっ、知り合い?」
 と聞いた。タクヤは含み笑いをすると、こう答えた。
「知り合いっていうか、この人が、いつかおまえにあのバラのプリザーブドフラワーをくれたひとみさんだよ」
「えええっ!!!?」
 ヒサトは絶叫した。
「はい、私があなた方の階上に住んでおります、『ひとみ』でございます」
 彼はひとみさんとタクヤの顔を慌てて見比べた。ひとみさんは、彼にゆっくりと尋ねた。
「その後、体の具合のほうはいかがですかね」
 彼は引きつり笑いをしながら答えた。
「あ、はい、おかげさまで、快復しました」
「あ、ああ、そうですか。それはようございました」
 ヒサトは何度も軽く頭を下げ、精いっぱいの愛嬌を振りまいた。
「あ、あはは、ありがとうございます」
 しかし、彼は心の中で哀し笑いをした。
(マジかよぉ〜!)