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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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みんなどっちの惑星?

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「温暖化が進みすぎています!
 今年の夏もめっちゃ熱いです!!」

「むむ、なんとかしなくてはな。
 確かに惑星単位でクーラー費もバカにならなくなってる」

国のトップは頭を悩ませながら、汗を滴らせる。
沸騰しかけた頭からはまさかのアイデアが生まれた。

「そうだ! この星ごと冷やしてしまおう!」

「はいぃ!?」

「国や都市ごとにちまちま冷やしてしまうから、
 その排熱のしわ寄せが別の場所に出てしまう。
 だから、そもそも惑星ごと冷やすんだよ!」

「そんなことできるんですか……」

「人間に不可能はない!!」

誰もができるわけないと思っていた計画だったが、
いざやってみるとあっさりとできてしまった。

トップの指示通り、惑星ごと冷やすことに成功した。

「これで完璧だ! 快適な生活が……」

満足げにしていたトップだったが、
歯がカチカチとなり始め、体が震える。

「ささささ、寒くない? 寒すぎるんだけど冬みたいだだだだ」

「だ、ダメです! 惑星単位で冷やすことは可能でしたが、
 宇宙のいろいろな法則とのかねあいで、
 これ以上の気温にすることができません」

「そそそそ、そんなこといったって……これじゃ冬だだだ……」

真冬並みに冷やされてしまった惑星。
たしかに暑くはなくなったが、これはこれで快適じゃない。

カチンカチンになりそうな脳みそで、トップは新たな解決策を思いついた。

「そそそそ、そうだ! 惑星をもう一個作ろう!
 かかかか片方は、これまで通りの暑い惑星と、
 もももももうひとつは、寒い惑星を作るんだだだだだ」

「そんなことできるはずないでしょう」

「人間に不可能はない!!」



――できました。



人工的にプチビックバンを起こすことに成功。

新しい惑星には冷やしすぎる装置を取り付けると
これまでの惑星が「夏の惑星」
新しくできた惑星を「冬の惑星」と名前をつけた。

「人間には暑さよりも寒さが得意な人もいる。逆もしかりだ。
 自分に得意な惑星に移住してもらおう」

上手いこと気温調節が不可能なので、
今度は惑星をどうこうするのではなく、
せめて人にとってまだマシな惑星を選ばせるのがいいだろう。

そうトップは考えた。

「あまり、2つの惑星が近すぎると
 宇宙的ないろいろで問題があるから離さないとな」

トップは2つの惑星の距離を少し広げた。

「トップ、それでは友達と別の惑星に行った人が困りませんか?
 惑星間の距離が結構ありますよ」

「ふふふ、ノープロブレムだ」

トップはちゃんとそこも考えていた。

惑星との中間に中継地点の小さな惑星をつくった。
それにより、お互いの惑星間の行き来がスムーズになる。

「うんうん、完璧じゃないか!! あとは人を移住させるだけだな!!
 秘書よ、お前はどっちの惑星が人気出ると思う?」

「そうですね、私は夏の惑星だと思います。
 寒くて人は死にますが、暑くて人はそう死にませんし」

「私は冬の惑星だと思うがな。
 暑すぎると食欲は落ちるし、体調も悪くなる」

どちらも一長一短。
二人はあーだこーだ話して、最後に計画を実行した。


「さぁ、移住スタートだ!!」


移住開始からしばらくすると、警告のアラートが鳴った。

「トップ、大変です!!」

「いったいどうした!?
 まさか、片方の惑星ばかりに偏って収まりきらないのか!?」

「いいえ違います!!」

秘書は惑星のデータをトップに見せた。



「みんな……中間の惑星から動きません! もう惑星がいっぱいです!」



夏と冬に挟まれて心地いいぬるま湯気温になった惑星には、
すし詰めになった人間がひしめき合っていた。