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月とコンビニ
月とコンビニ
novelistID. 53800
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答え

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『答え』

【著】眠眠    


 最初からそこにいたような気がした。私が先にいたのか、あいつが先にいたのか、それはわからない。でも、ずっと、ずっと近くにいたんだ。


『あいつ』と称してはいるが、そもそも本当にそんな奴がいたのか、定かではない。何しろそいつを見たことがない、視認できないんだ。でも声が聞こえる。正確にいうと意思が伝わってくる感じ。多分、そんな感じ。
「よう」、意思が伝わってきた。「どうも」私は意思を返した。
「あなたは何?わたしは何?」私は問うた。
「知らなくてもいいことだよ」『あいつ』はそう意思を持った。
「何もわからないんだ、真っ暗でどこにもいない、なにも存在しないように感じる、母親の羊水の中で生きる胎児のような、無防備な『わたし』に教えてくれよ」
「フフフ、アハハハハ」『あいつ』は笑った。
「おまえ、本当はわかってるんじゃないか?」私は何の事だかわからない。
「いいよ、教えてアゲル」

 あいつはいろんなことを教えてくれた。
まず私たちは今とても狭い「世界」という中にいるということ。
「地面」っていうのは自分を感じる場所、
「空」っていうは自分を忘れられる場所。
「朝」っていうのは、自分以外の存在を感じるもの。
「夜」っていうのは自分の存在を感じるもの
「恋」っていうのは自分が感じるもの
「愛」っていうのは他人に感じるもの

『わたし』は地面が好き 『あいつ』は空が好き
『わたし』は夜が好き  『あいつ』は朝が好き
『わたし』は恋が好き  『あいつ』は愛が好き

反対、『あいつ』と『わたし』は全部正反対。なんでだろう。
『あいつ』は全部自分以外の物が好きだ。
『わたし』は全部自分を感じる物が好きだ

なんで。
『わたし』は自分を感じないと怖くてたまらない。『あいつ』は自分を感じようとしない。
なんで。

『あいつ』は朝が好きだ。『あいつ』と『わたし』は狭い世界の中にいる、
『あいつ』は自分の存在を感じることによって、この狭い世界が自分で埋まってしまうことを恐れているらしい。だから『あいつ』は朝が好き。
『わたし』はそれを感じて考えた。
【それでも『わたし』は夜が好き】
『わたし』は『あいつ』を感じたい、そのためには『わたし』の存在が必要なんだ。

『あいつ』は空が好きだ。自分を忘れられるから。『わたし』に言ってきた。
【知っているか、空を見ると地面は見えないんだ】
別にいいよ、『わたし』が地面を見てるから。

『あいつ』は愛が好きだ。『わたし』を感じられるから。
でも、『わたし』は恋が好きだ。『わたし』が恋をしているから『あいつ』を感じられる。
ただ『あいつ』は怖がってた。この「愛」も「恋」も狭い世界の中だからではないかと、
大丈夫、【生まれ変わっても『わたし』は『あいつ』と恋に落ちるよ】

フフフフ、アッハッハッハッハ!!

 バカみたい、でも、心地良い

その時、目の前の空間に白い亀裂が現れ始めた。『わたし』も『あいつ』も、不思議と落ち着いていた。
大丈夫、きっと、『わたし』と『あいつ』は一緒だから。

視界が白く染まった

ジュウゥゥゥゥゥゥゥ!!
女「あら?この卵、双子だわ。ふふ、今日はいいことありそう♪」


終わり


作品名:答え 作家名:月とコンビニ