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同調率99%の少女(9) - 鎮守府Aの物語

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--- 2 生徒会の反応



「ねぇ、なみえ聞いた?内田さんの話。」
「うん。今朝来たらもうその話題で周り持ちきりだったもん。びっくりしたよ〜。」
 那美恵と三千花は自身の、2年生の教室で話していた。途中で二人と仲の良い女子が那美恵の席に近寄り、その話に加わる。
「1年の吉崎くんって確かにカッコいいし人気あるらしいから、告りたくなるのも無理ないよね〜。でも1年の間じゃ告白はしないさせないっていうのが不文律だって聞いたよ。内田って子も可哀想に。振られた上にそれ破ったからこの有り様じゃあ仕方ないよね。」
 その後も噂を聞いてきた那美恵のクラスメートが様々な話を那美恵と三千花に語りかける。二人はそれにうんうんと頷いて話と雰囲気を合わせて話を聞いてはいたが、内心は別の感情を抱いていた。


--

 お昼休み、弁当を持ち生徒会室へ行って二人で食べる那美恵と三千花。真っ先に飛び出た話はやはり内田流留のことだった。

「内田さんのこと、すんごいことになってるねぇ。」と那美恵。
「休み時間を経るたびに話の内容が膨れ上がってるのはビックリね。あそこまで尾ひれがつくって言葉がぴったりな状況も見事すぎてなにも言えないわ。」
 うわさ話が嫌いな三千花は表情をわざと苦々しくして言った。それになみえは相槌を打つ。
「うんうん、ここまで来ると清々しささえあるよね〜」

 昼食の弁当を口に運びながら三千花が問いかける。
「そもそもおかしくない?彼女、昨日は視聴覚室に艦娘の展示見に来たわよね。吉崎って男子生徒に告白する時間なくない?」
「視聴覚室に来る前に何かあったんでしょ〜。そんな素振り全く見せなかったけど、もしかして告白があったから少し気持ちが落ち着かなかったのかも。」

 那美恵が昨日のことを思い出して彼女の気持ちを推し量る。その言葉に三千花も頷いて那美恵の想像を補完した。
「確かに。彼女ほとんど上の空だったもの。あの時はてっきり艦娘のことに驚きすぎてああなったのかと思ったわ。」
「うんうん。あ! もしそうだったのならみっちゃん、昨日のあたしへの言葉謝ってよー!」
「え?いやーそれは……。でも一般の人がいきなり資格あるって言われて迫られたらああなるのは明白じゃないの?あれはあれで正しい注意だと思ってるから私は謝らないわよ。なみえも少しは反省なさい。」
「ぐぬぬ。また泣くぞ〜」
 那美恵はおどけて泣いてみたが、三千花はまったく動じなかったのでおとなしく箸を進めた。三千花はそんな那美恵の様子なぞ意に介さず自分が気になったことを彼女に訊いてみた。
「ねぇ、内田さんの告白、あれどう思う?」
「どうって……告白自体はしたか、あるいはないけどそれに勘違いされることがあったというのが想像かなぁ。」
「私もそう思う。どのみち当事者の内田さんと吉崎って人は晒し者になってるんだから可哀想よね。」
「まぁね〜。でもあたし達が何かして解決できる問題でもないし、関わらないほうがいいとは思う。」
「そこはなみえも貫き通すのね。」

「うん。だってさ、いくら内田さんが艦娘になれる人だからって同情して彼女を助けるために首を突っ込んだらさ、少なくともあたしだと、生徒会長が関わってきた!何かあるのか!って余計にこじれそうじゃない?」
「確かに。なみえじゃ影響力でかすぎだわ。個人で関わったって言っても多分人はそうは思わないでしょうね。」
「うんうん。それに艦娘のことと彼女のプライベートのことはまったく関係ないし、返事は保留って言ってきた以上はあたしは事を見守ることしかできないかな。これは内田さんの問題だしね。」

「……本音は?」
「噂に悩んで弱ってる彼女に手を差し伸べてつけこんで惚れさせてチョメチョm」
 那美恵が言い終わる前に三千花は彼女のおでこをペシリと叩いて不穏な案をストップさせた。


--

 しばらくすると生徒会室に別の生徒が入ってきた。書記の三戸と和子だ。那美恵が二人の表情を見る限りは、二人も内田流留のうわさ話を聞いてやってきた口であったのは明白であった。

「会長!副会長!内田さんのこともう耳にしてますか?」
 入ってくるなり二人の姿を見た三戸が口から発した。
「うん。2年の間でももう広がっちゃってるよ。」
「内田さんって、やっぱり昨日の内田さんのことですよね?」
 和子も心配そうに確認してくる。

「で、どうします?」
「うん?どうするってどーいうこと?」
 三戸が那美恵に確認するが、その意図はまったく伝わっていない。普段察しがいい那美恵でも三戸の言いたいことがわかっていない様子だった。那美恵の呆けた顔を見て、改めて説明を加える三戸。

「内田さんをどうにかして助けるんっすよね?」
 そういうと三戸は期待の眼差しで那美恵に視線を送る。が、那美恵の発した言葉は三戸の期待をひとまず裏切るものだった。
「ううん。助けないよ。だってあたしたちには関係ないし。」

 三戸は那美恵の言葉を聞いた途端に長テーブルにのしかかるように強めに手を置いて那美恵に反論した。
「!! え……何言ってんすか会長? 十分関係あるっしょ? だって艦娘になれる人なんっすよ!?」
「三戸くん、落ち着こ。」
「いやいや!会長が望んだ人じゃないっすか!なんで助けないんっすか!?」
 三戸の言葉には三千花が反論した。

「三戸君。落ち着きなさい。」
「そうです三戸君。これは私でもわかることですよ?」
三千花と和子になだめられてようやく落ち着く気になった三戸。軽く深呼吸をした。その様子を見て三千花は改めて反論する。


「なみえも私も実のところ、なんとかしてあげたいの。だけどね、なみえはもちろん私ですら仮に動いて彼女を助けたとなったら、ものすごく目立つのよ。個人で動いたつもりでも生徒会が動いたと思われてしまうの。わかるでしょ?」
 三千花の言葉を受けて和子も自身が想定していた考えを述べる。
「一個人の私情に生徒会が関わったと思われたら問題が多いですね。それでなくても私達はまだ内田さんとは同調率という点でしか繋がりがありませんし。傍から見たら無関係なのになんで生徒会が?と変に思われてしまいます。」

 三戸は理解は出来たが納得いかない。苦々しい表情にそれがハッキリ現れている。
「でも……俺は、会長と内田さんを俺の手でつなぎとめてあげたいんっす。せっかく見つけた艦娘仲間になれる人なんだし、彼女が困っているのをここで見捨てたら、彼女学校に居づらくなってクラスの雰囲気だって悪くなるままだろうし、それになにより会長の望みが叶わなくなるのが俺自身つらいんっすよ。せっかくここまで関わったんだし。」

「三戸くん……ありがとう。でもそこまで君が責任感じてしまうこと、ないんだよ?」
 那美恵は優しい口調で三戸をささやきかける。彼は那美恵がお願いした内田流留への勧誘、それを通した繋がりの構築に責任を感じていた。その責任感の前では、那美恵の優しい言葉でさえそれほど意味をなさなかった。那美恵は気づいたが、三戸をいたわらずにはいられなかった。
 いたわりつつも、那美恵は三戸を諭す。