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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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自動車ようせい所へ行こう!

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「お前、その年にもなって免許もないのか!
 うちの会社に勤めているのに、恥ずかしいぞ!!」

と、上司に激怒されたので免許を取ることに。

「しかし、車なんて興味なかったからなぁ。
 免許の養成所がどこにあるのか……」

必死に探していると、ついに見つけた。

『運転ようせい所』

中に入ると、愛想のいい教官がやってくる。

「やぁ、君が新人さんだね?
 ここなら早くて1週間でプログラムを終えられるよ」

「そんなに短いんですか!」

「1週間後には、君も晴れて車の妖精さ!」


「……妖精?」

聞き間違いかと思って、再度確認した。
でも、俺の聞き間違いでも変換ミスでもなかった。

「車の妖精さ。
 君も妖精になるために来たんだろう?」

「いや、俺は会社の意向で……。
 というか、車の妖精ってなんですか!」

「車についている妖精のことさ。普通の人には見えない。
 車のエンジンがかかりにくかったり、
 急にエンストしたりするだろう? あれは妖精のしわざさ」

「……なんか、悪さしているようにしか思えないんですが」

「それは違う。
 妖精がいるから急な飛び出しでも、急ブレーキが間に合ったり
 危ない! というシーンでも妖精が教えてくれるから助かっているのさ」

明らかに場所を間違えてしまったが、
すでに料金も支払ってしまったので引くに引けなくなってしまった。

「わかりました……なりますよ、妖精に」

「ではプログラムを始めましょう!!」



自動車妖精所のカリキュラムは過酷そのものだった。


車内で妖精のあるべき立ち振る舞いを座学で勉強し、
教習車の中で妖精の仕事ができるよう練習し

養成所の中で、なんとか1次教習を終えたと思ったら

今度は路上教習が待っている。


「はい!! アクセルとブレーキ踏み間違える!!」

「きらきらり~ん☆」

教官が路上で急に行うミスを妖精パワーで抑える。


「カーナビ操作で車間距離が狭くなってる!!」

「ぴっかり~~ん☆」

前方の車とぶつかりそうになるのを、妖精パワーで気づかせて未然に防ぐ。
いつなんどき襲ってくるかわからない事故に備えて
妖精が常に気を配っていなければならない点が本当に苦労した。

そして……。


「お疲れさまでした、これですべての教習は終わりです。
 ここからは晴れてあなたは自動車の妖精です!」

「本当ですか! ありがとうございます!!」


何度も苦労したがついに受かることができた。

「ささやかですが、これは妖精所からの贈り物です」

もらったのは妖精のステッキと羽。
これをつければ、人の目には見えない自動車の妖精となる。

最初こそ会社の命令でイヤイヤ来ていたが、
さまざまな苦労を経て合格して本当に良かった。

「これであなたが同乗する限り事故率は低いでしょう。
 それだけじゃありません。
 標識を見逃したり、道を間違えたりの失敗もなくなります」

「妖精って本当に偉大なんですね!
 俺、自動車の妖精になれて本当に良かったです!!」


「最後に1つだけいいですか?
 そういえば、あなたの会社のお仕事はなんですか?」



「はい!! すでに浸透している自動運転の会社です!」