ここに来た8 カリブ海
8 カリブ海(フロリダ〜バハマ)
まだ暗いうちに大型客船に乗り、1日でフロリダ〜バハマを往復する船旅。
船室を予約できていないことが判り、急遽取ったキャビンは窓の無い下等客室。
なんとも無機質。まあ、船室にいる時間もそう長くはないので、OKとした。
港で手を振る人々に見送られ、トロピックスター号は、フォートローダーデールのペールブルーの水面を、朝日に押し出されるかのようにスムーズに動き出した。
出航直後、まずは朝食。ブッフェスタイルの食べ放題。朝からお腹いっぱいに。
大きなこの船は揺れないのだが、何か不自然に重力がかかっているようで、船酔いをしてしまった。
気分転換にまだ人の少ない甲板のプールで泳いでいると、酔いも醒めて気分爽快。
青い海の上に水色のプール。多少の違和感を感じる。
すぐに日焼けしてしまったので、早々に屋根の下に入る。
とても穏やかな波で、風が吹いていなければ、船は進んでいるのか判らない。
つまり、景色に何も変化がない。
ジュースは何杯もおかわりしたが、時間経過を感じにくく、あっという間に日は真上。
寝転んで快晴の空を見上げ、「日本晴れ」という不似合いな言葉を思い出して笑う。昼間の太陽は、世界中どこにいても同じようなものだから。
バーやカジノで時間をつぶして、船内を散策しながら軽くランチ。それでも暇を持て余す。
船上にして、地上と変わらぬ環境がすごいのだが、一通り見終わると逆にホテルに閉じ込められているようで飽きるものだな。
グランドバハマ島に到着する間際に、真下の紺色の海にトビウオが船に驚いて海上に弧を描いて飛行する様子と、イルカが舳先に付いて泳いでいるのが見えた。
島にタッチ&ゴーでもとの港への帰路に就く。再び暇な時間。
船上からの夕焼けを期待していたが、ショーやコンサートを楽しんでいるうちに、日が落ちてしまっていた。本当に時間が経つのが分かりづらい。
華やかな電飾のカジノに行って、スロットで大当たりしたが、クウォーターコインばかりで邪魔になって、周囲にいた人たちに一握りずつプレゼント。
ディナーの席で、お礼にフリードリンクを何杯もごちそうされた。
おかげで港に着くまでベッドで熟睡。
これなら町で遊んでいた方がよかったかも。
もう少し小さい船ならクルージングの楽しさを実感できただろうか。
作品名:ここに来た8 カリブ海 作家名:亨利(ヘンリー)