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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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恋愛取調室と尋問官

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「いい加減吐いたらどうなの!?」

「だから俺はやってねぇって言ってるだろ!」

「どう考えても、あなたが落ちてるのよ!」

「そんなこと決めつけじゃねぇか!!」

「いいえ、そんなことはないわ!」

取調官は断言した。

「あなたは私へ恋に落ちているわ!!」


時間は少し戻たころに、
この恋愛取調室にひとりの男がやってきた。

恋愛取調室には男のほかに、尋問官と秘書の女性。
とくに尋問官は凄腕と有名で"おとしのさーちゃん"とかなんとか
あだ名をつけられるほどだった。

「……どうしても、私に恋をしたと認めないわけね」

「そういうの自白の強要って言うんじゃないのか」

「いいえ、真実の探求よ」
「物は言いようだな……」


「それじゃ聞くけど、7/26は何をしていたの?」

「なにって……家でぼーっとしていたよ」

「ぼーっと? ふふ、それは違うわね。
 その日、あなたは私が行きつけの店に行っていたはずよ!」

「それは……」

「さて、どうしてウソをついたのかしら?
 いいのよ、わかってる。
 私に夢中であることを認めたくなかったんでしょ?」

「そ、そんなわけないだろ!!」

「恋に落ちた人はみんなそう言うわ。
 そして、すべからくみんな強がっているの」

これまでのやり取りを秘書がしっかり記録する。

「なにか勘違いしてるみたいだが、俺はあんたを好きじゃない!」

「強がるほど、私を好きな証拠が出てきたときに
 後で言い訳が苦しくなっていくだけよ?」

「そういう上から目線なところが嫌いだ!」

「拒んで見せたってあなたの気持ちは変わらないわ」

尋問官は秘書に合図を送ってかつ丼を運び入れた。


「……なんのつもりだ」

「これはほんのテストよ。
 あなたが私のことをなんとも思っていないのなら
 このかつ丼をあーんして食べられるわよね」

「おっ、お前……!!」

「ほら、あーーん」

尋問間の必殺技"かつ丼落とし"。
これで恋を自白しなかった犯人はひとりとしていない。

秘書も食い入るように見つめる中、
男は尋問間の差し出した箸から顔をそらせた。

「で、できるわけねぇだろ!!」

「確定ね。やっぱりあなたは私に恋をしているわ。
 自覚がないのかもしれないけど、それは確実よ」

「ち、ちがう……!」

「恋愛矯正センターへ」

取調室に入って来た屈強な男につかまれて、
男は強引に部屋へと連れ出されていく。

そのとき、1枚の写真がするりと落ちた。


「こ、これは……!」


尋問官は目を見張った。
さらに驚いたのは秘書の方だった。

「どうして私の秘書の写真を……!」

「……俺が好きなのは、秘書の方……なんだ」

男は顔を真っ赤にしながら、消え入りそうな声で答えた。


「そんなのありえないわ!
 だって、あなたは私をストーカーしてたじゃない!」

「それは……あんたの近くに秘書がいるから……。
 どうやって声をかけていいのか……わからなくて」

「かつ丼あーーんも拒んだじゃない!!」

「好きな人が見てる前で、女の子とそんなのできるわけないだろ!!」

「そんな……それじゃ私は間違っていたというの……!?」

尋問官は驚愕し、すぐに全員に告げた。


「この男以外、全員この場から出ていきなさい!
 私はこの男をさらに尋問しなくちゃならなくなったわ!!
 私がどこでミスをしたのか確かめる!!」


尋問間の言葉に、屈強な男も秘書も部屋を出た。
そして、部屋には二人きりになった。

「それじゃ、尋問を始めるわ……」

重々しい口ぶりとは裏腹に、尋問官は目をそらして耳まで赤くなっている。


「その、趣味とか……教えなさいよ」



「お前、俺に恋してるだろ」

その後、尋問官による尋問は朝まで続いたとか。
リア充は死ね。