気紛れ
私は大変億劫に感じながらも、“力”を使って隕石の軌道を僅かに逸らした。星の大気を掠めて、隕石は彼方へと姿を消す。
最近、この星の高等生物もやっと宇宙の法則に気付き始めたらしく、以前は隕石など適当に爆発させていればよかったのに、このように回りくどいことをせねばならなくなってきたのだ。
まあ、さりとて決して悪いことではない。知識が増えれば争いごとも増える。それを眺めるのが楽しくて、私はこのオモチャを手放せないのだ。特に、この星はいい。私が飽く間もなく次々とくだらない争いに時を費やしてくれる。奴らの言う「神」とは、きっと私のことを指しているのだろう。まったく、慈悲深いだとか偉大だとか、失笑ものである。退屈しのぎに付き合ってやっているだけだというのに。
もうしばらくはこの星で遊べそうだ。おぬしら、「平和」など、間違っても目指さぬがよいぞ。実現したら、また退屈で仕方なくなる。隕石をどけてやる気力も失せるだろうからな……。