ここに来た6 グランドキャニオン
6 グランドキャニオン(アメリカ アリゾナ州)
一度は見てみたい景色、誰もがそう思うであろう有名な場所。
そういう所は、何度も写真やテレビで見ているので、驚きを期待できない。
電柱のように巨大で滑稽なサボテンが、無数に生える荒野のハイウェイを、フェニックスからレンタカーで走ること5時間。その地に着いた。
茶色い土や岩を想像していたが、規模が大きすぎ霞がかかり、その景色の印象は薄紫色だった。
大地にある亀裂はあまりにも巨大過ぎて、人間の視野にすべてが収まりきらない。
首を右左に動かし、更には谷底を覗き込む。
空にところどころ軽そうな雲、谷底にカーキかオリーブ色の川が見える。
この乾燥地帯で、あれだけの水量を見るのは不思議な気がする。
柵も何も無い、高さ何百メートルかの崖の端に腰掛けて、両足を投げ出してみた。
それを見て恐怖にどよめく観光客の声が後ろから聞こえる。
そのまま岩に寝そべり、地球のパワーを感じる。
気温は50度近いと言うが、とても気持ちのいい所だった。
渓谷沿いにはいくつものヴューポイントがあるが、どこに行っても同じような景色だ。
2時間ほどいくつものポイントをめぐったが、さすがに飽きてしまった。
でもきっと、家族を連れてまた訪れるだろう。
作品名:ここに来た6 グランドキャニオン 作家名:亨利(ヘンリー)