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ヒステリック エンジェル。

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ヒステリック。



嫌味のようにギラギラとダイヤモンドが輝くロレックスの腕時計が深夜0:00に向けて動き出している。

あたしは、ケラケラと笑いながらキッチンへ向かい、鋭く研いだ包丁を取り出した。

そして、ゆっくりと、うなだれたままのレンちゃんの背後にその刃を向ける。

「殺せ」

ぐしゃりと皮膚の壊れる音と共に、血液が物凄い勢いで飛び出した。

あたしは着ていたシルクのキャミワンピースに跳ね返るレンちゃんの血液を浴びて、この上ない悦びを感じていた。

うずくまるようにしてレンちゃんは倒れ込む。
レンちゃんの身体は真っ赤な血液に埋もれていく。

終わったんだ。
なにもかもすべて終わったんだ。

「お前は容疑者になったんだ」

耳元で囁きかけるとても優しい声。

あたしはこれで打ちのめされることもなくなって、毎日キラキラした笑顔で、生きていけるの。
店のパネルのように心からの笑顔で、生きていけるの。

あたしは警察署に電話をかけた。

「あたし、人を殺しました。世界で一番愛している男です。今からスタンバイするので逮捕してください。」

シャネルのドレスに着替えて、カルティエのティアラを頭上に乗せた。

ピンクのドレスは、あたしの身体に飛び散ったレンちゃんの血液でグラデーションを作っていく。

あたしの愛するダーリン。
どうか地獄に落ちてくださーい。

じゃあねー。
ばいばーい。

鳴り響くサイレンの音が聞こえる。

ーENDー