小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

限りなくわかりにくい童話

INDEX|1ページ/1ページ|

 
「パパ、絵本読んでーー」

「ああ、いいよ。読んだら寝なさい」

父親は子供が楽しめるように
ファンタジーリメイクされた絵本を取り出した。


※ ※ ※

魔法猟師(ソーサリーバウンサー)のニック・ラインハルトは、
かつて魔王に滅ぼされし大海(カオス・ヘヴン・プール)へとやってきた。

そこにはカオスに取り込まれし魔物(リターナー)が、
無垢なる聖域の使者(シュバイツラー)へ魔法をかけようとしていた。

「カタストロフィの惨劇は繰り返させない!
 すぐに辞めるんだ!!」

リターナーを撃退したラインハルトは
シュバイツラーの加護を受け
深海の無垢なる聖域(デプス・シュバイツ)へと赴いた。

そこにはヘヴンに沈みし混沌の女神クシナダーダが待っていた。

「お待ちしていました。
 あなたがニックラインハルト……。
 シュバイツラーの加護を受けし勇者(ブレイバー)なのですね」

「はい」

「では、あなたに我らの加護をささげましょう」

クシナダーダは聖域にいるシュバイツラーを集めて
神聖なる舞(ホーリィ・マギカ)をブレイバーへとささげた。

「こ、これはすごい……!
 体の奥からオドの力がみなぎってくるようだ……!」

「はい、あなたには加護をささげました。
 そしてこの箱(アンヴァイス・チェーン)をあなたに預けます」

「アンヴァイスチェーン……!?」

「アンバイス・チェーンはカオスとヘヴンのバランスを
 カタストロフィする危険のある物なのです。
 これが開かれれば、大変なアンヴァイスな災いが広がります」

クシナダーダは同時にアンヴァイスを
ソーサリーバウンサーに託す意味も伝える。

「けれど、アンヴァイス・チェーンがあなたの手にある限り
 デプス・シュヴァイツの平和は保たれます。
 どうかそれをお忘れなきよう」

クシナダーダに見送られデプス・シュヴァイツから戻ったラインハルト。
しかし、戻った先のヘミソフィアはすでに変わり果てていた。

「なんてことだ……! ラグナロクが始まってしまったのか……!」

変わり果てたディスアナトピアとなった世界に
ブレイバーとして深く絶望したラインハルトはそっとアンヴァイスに手をかける。

「カオスとヘヴンのバランスを崩し
 カタストロフィすれば世界はラグナロクの恐怖から解放されるかもしれない」

ラインハルトはアンヴァイスを解除した。
アンヴァイスからは激しい光(フリーア)が湧き出し体を包んだ。

フリーアが消えるころにはラインハルトの体は
テンペストのような老体へと変わっていた。


※ ※ ※

「めでたしめでたし」

父親は"ファンタジー浦島太郎"を閉じた。

「ねぇ、パパ。ぜんぜん話が入ってこないの」

「そうかい? 最近は魔法やらをちりばめたものが
 子供たちの間では流行っているから作られた絵本なのに」

「簡単にあらすじを教えて?」

「いいよ、えっとねまずはいじめられている亀を……」

「3行で説明して」

「3行!?」

父親は一瞬慌てたがすぐに落ち着きを取り戻した。


「亀助ける
 お礼に箱もらう
 箱開けておじいちゃん」

「なるほど、よくわかった!」

子供はとりあえず納得した。
しかし、ふたたび子供の際限ない好奇心が出た。

「でも、どうしておじいちゃんになったの?
 ラインハルトは何も悪いことしてないじゃない」

「約束を破ったからだよ。
 開けちゃダメって言われていたことをやったんだ。
 罰として一気に老け込んじゃうのも仕方ないよ」

「ふーーん」

子供は少し考えると、ハッとした。


「もしかして、お父さんが老け込んだのも
 お母さんとは別の人と会ったことで
 結婚の約束を破ったからなの?」