事実と真実
事実と真実の間で揺れている
私の瞳を覗き込み
囁く声から
火照った指先から
髪の香りから
舌先でなでる肌から
五感を駆使して
私を探る
そうした事実から取り出した私の影に
真実を探す
けれどもやっと見つけた私の真実は
彼に取り込まれた途端
彼の真実となり
私の真実とは放れてゆく
そして事実を受け止める事にすら
疑問を抱き始め
思考の混沌に堕ちてゆく
キミガキミトハカギラナイノカモシレナイ
何を返しても届かない気がして
微笑って受け流すしか術はなく
私もまた
事実と真実の間で揺れていく
けれども困ったことに
そんな彼がことさら愛おしい