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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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4人一緒でホープルーム!

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「ホープルームへようこそ!
 ここではどんな願いも1つだけ叶えられます!
 願いを叶えたらさっさと部屋を渡してくださいね」

スタッフに案内されてやってきた部屋の一室。
真っ白で何もない正方形の部屋。

俺のほかにも3人の人たちがすでに部屋にいた。

「えっ、僕だけじゃないんですか?」

「私も同じこと考えていたわ」
「この部屋で願い事をかなえられるって聞いたのによ」
「な、なんでこんなに人数がいるんですぅ、ブフゥ」

うかつだった。
そんなこと考えてえる場合じゃなかった。

そうこうしているうちに部屋の一人が大きな声で叫んだ。

「おい! ホープルーム、願いだ!
 オレ様を世界で一番かっこいい顔にしてくれ!!」

しかし部屋に反応はない。
男の顔が急にイケメンになることもない。

「私に皇居クラスの家をちょうだい!」
「あ、アイドルのみーゆタンを総選挙で1位にしてほしいんだな!」

しん……。
部屋は何も反応しない。
誰かの願いが叶えられたような気配もない。

「もしかして、4人の願いを1つにしろってことなんじゃないですか?
 だって、部屋で叶えられる願いは1つなのに
 4人も同じ部屋に入れられるなんておかしいですよ」

「なるほどな、お前頭いいな」

ちょっと悪っぽい男は取り仕切るように大声を出した。

「みんな金は欲しいよな! 金が嫌いな奴なんていない!
 全員金が欲しいって願いにまとめるぞ!!」

全員が祈るようなポーズをする。



が、やっぱり部屋に反応はなかった。

「ちくしょう!! どういうことだ!!
 なんで願いが叶えられねぇんだよ!」

「も、もしかして願ってなかった人いるんじゃないかな?」

「誰だ!! てめぇのせいで願いがかなわなかったじゃねぇか!!」


犯人は僕だ。
彼らは気付いていないだろうが、
大量に金が手に入ると金を自衛することに気を遣う。

泥棒を警戒し、金庫を買って、でも友人には金持ちだからと足元を見られる。

そんな願いは幸せじゃない。


「ねえ、だったらみんなルックスを良くしたいわよね?
 整った顔で困る人はいないんじゃない?」

「まぁ、芸能人でもなけりゃ変装する必要もねーしな」
「みーゆタンにもきっと好かれるかもしれないですな、ブフゥ」

「わかりました」

今回は僕も乗り気だ。
イケメンになれば何かと得をする。異論はない。

全員がふたたび祈るようなポーズをする。



しかし、また願いは叶わなかった。

「あーーん!! もうなんで!? どうして!?
 誰が邪魔するのよぉ!!」

「てめぇら、ちゃんと願いをまとめやがれ!!」
「いい加減にしてほしいでござる、ブフゥ」

「このままじゃ時間が……」

ホープルーム滞在時間は決まっている。
それこそカラオケボックスのように。

いつまでも願いをまとめられないと、
願いをかなえられないままタイムアップになってしまう。

「ああ! ちくしょう!!
 こうなったらもう何も言わねぇ!!
 全員で願いを考えるしかねぇぞ!!」

「あんたたち、ちゃんと願いをまとめなさいよ!」

「せっかくお金払ってホープルーム来たんだから
 ちゃんと願いを叶えてから出たいでござる、ブフゥ」

部屋に"これを願ってください"と指示してしまうがゆえに、
反発されて願ってくれなくなるんじゃないか。

そんな言葉には出さない疑心暗鬼もあって、
ついには全員が何もしめし合わせをせずに願いを祈った。




その瞬間、部屋にキラキラとした星が飛んだ。



「これは……願いが叶ったってことなのかな」

「おい、てめぇら何願ったんだ!」
「幸せになりたいって」
「ぼ、ぼくも同じでござる」
「っしゃああ! 俺もだ! みんな一致したぞ!!」

全員の願いが奇跡的に一致した。


が、一向に幸せになる気配も変化の兆しも出てこない。

まもなくスタッフがやってきた。

「みなさん、お疲れさまでした~~!
 願いを1つ叶えてもらったので、ご退出お願いします~~」

「おい! てめぇ待ちやがれ!!
 まだ俺たちの願いがかなってねぇじゃねぇか!!」

「は? 何言ってるんです?
 みなさんが最初に気持ちが一致した願いはかなえましたよ」

スタッフは驚いたように目を丸くする。



「ここにいるみなさんの誰もが
 "願いを一致させたい"と願ったじゃないですか。
 ホープルームはちゃんと願いを叶えましたよ」