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大石 りゅう
大石 りゅう
novelistID. 59714
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その二.ヤマタノオロチとコダマの草那祇(クサナギ)

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オラは、とりあえずツガルの里を出発したものの、そう都合よく天皇候補の人間が見つかるわけもなく、各地をめぐりながら、西南へ、西南へと旅するうちに、いつの間にか、一面の葦の原が山々を柄模様に染め上げているため、葦柄山(アシガラヤマ)と名付けられた、温泉の湧き出ずる山に来ていた。


このアシガラヤマというのは、現代の足柄山の事である。記紀神話の舞台になっているのは、出雲をはじめ、関東より西の地方であることが多いが、これは記紀を編纂した当時の社会の交通手段が著しく退化していたため、当時の人間たちの先入観で、自分たちの行動範囲の土地のみ、神話舞台を設定してしまったのであろう。実際は、本編の主人公タケハヤもそうであるが、その舞台は、現代の北海道と沖縄を除く、日本全国津々浦々に渡っていた。