宝石の夜
無一文から元々王家にあった4つの宝石を手にし、まごつく王子に、彼の恋人が告げる
ブドウ酒のまたたきのようなルビーは喜びのため
清らかな真珠は祈りのため
力そのもののように輝かしいダイアモンドは国を治めるために使うように、と
そしてオパールは・・・
「ひとの心のように美しく、さまざまな色をたたえ、たえず変わる、
虹の七色を秘めた乳と火の色をもち、
すべての時代の、すべての女の、すべての思いから生まれたとでもいうような・・・
一つの玉の中にあらゆるさがを持つオパールは、宝のまま保とう」、と
石に対するこれほどの賛美を、二つと知らぬ
いつか手にしたい
あの真珠貝の艶めいた裏打ちに揺れ、氷り燃える虹色を想う
ただ石は、人を見、選ぶ
使い方を知らぬ者が持ったところでなんの意味もない、と古来謂われる
単なる所持者ではなく、そのなめらかな煌めきとたゆたいを手に、知っている魔法を使いたい
ある夜 かぐわしい香をたちこめさせ、昔ながらの光のもとで、
わたしはその石を手にし、訊く ひくく語りかける
石はふと心を開く、歌ともつかぬ呟きをもらしながら
彼、あるいは彼女は、この手で引き寄せねばならないだろう
おまえは今、何処にある?
探しに行こう
逢えばすぐにそれと知れるだろう
探し続けよう