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食べずに書こう

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さみしい女は太る、と聞いたことがある。
エモーショナルイーティングという言葉がある。なんでも、「食欲」には「本物の食欲」と「偽物の食欲」というふたつの種類があり、この「偽物の食欲」がエモーショナルイーティングにあたるそうだ。本当にお腹が空いているわけではないが、ストレス発散の為、さみしさを紛らわすために食べてしまう。そういう食欲は偽の食欲で、しかし偽物のくせに本物の食欲よりも強い食欲に感じることもあるというから厄介である。
また、習慣的に食べてしまうのもエモーショナルイーティングにあたるらしい。「飲んだ後は〆のラーメンだよな」とか「映画観るならポップコーン」などがこれにあたる。ちなみに、エモーショナルイーティングに共通するのが、食欲が急にわいてきて、食べた後に罪悪感が沸く、特に甘いもの、塩分の多いもの、カロリーが高いものが食べたくなる。らしい。

身に覚えがある。以前エステティシャンをしていた時は、一日走り回り汗だく、先輩に叱られ、帰ってくる頃には心身ともに疲れきっていた。私は食い意地が張っていて大食いだが、それでも疲れすぎて食事を摂る気力もなく、即シャワーを浴びて寝る、ということが多かった。
誰にでもついてない日があるだろう。私にもある。よくある。わりと。仕事でミスをし、客には苦い顔をされ、先輩にはチクチクと叱られ、「もう帰っていいよ」と言い放たれる。ここで気を遣って「手伝います」とでも言えばかえって邪魔なんだけど…というオーラを出され邪険にされるが、大人しく帰っても「ほんとに帰ったよ、あいつ」などと陰口を叩かれる。どちらに転んでも地獄である。まあ、どうせ地獄なら早く帰れる地獄がいいので、私はそそくさと帰宅した。このストレスマックスな状態で帰宅してなにをするか。食べるのだ。

家に帰るとだいたい23時近い。こんな時間に物を食べれば太るし肌も荒れる。わかっちゃいるけどやめられなかった。私は帰りにコンビニでスイーツや缶チューハイ(ビールにしないところがせめてもの良心)を買い込み、家で一心不乱に食べた。
ある時は炊飯器から直接しゃもじでご飯を食べたこともある。このときばかりはさすがに自分に少し引いたが、あとから思い返すとギャグマンガのようでなかなか愉快な光景だった気もするのでまあ良い。

とにかく私にとって食べることは一番のストレス発散法だった。こんなにアホみたいにばかすか食べてるのは自分だけ…と思っていたが、周囲の人の話を聞くと、食べてストレスを発散している人は割と多いみたいだった。会社は違うが、私と同じくエステティシャンになった友人は、働き始めてから日々の激務にも関わらず3キロほど太ったと言っていた。ストレスと体重が比例する女性は少なくないような気がする。そう思うとモデルは昼夜ストレスに晒されているのにスタイルをキープしていてすごいと思う。それが仕事なのだと言われればそれまでだが、三大欲求のひとつである食欲を気合でな腹を紛らわすと聞いたことがあるが、そこまでいくともはや悟りの境地である。

話が逸れた。最近は夜バイトに行き深夜に帰宅、という生活を送っているのだが、日中に延々となにかを食べ続けてしまう。思うのだが、忙しくしている時よりも暇なときのほうがお腹が空く気がする。おそらく、これが「偽物の食欲」というやつだろう。なにせ私が日中していることといえばスマホでゲームかネット、読書、テレビなどで、頭も体も使わないのでそんなにお腹が空くはずがないのである。実際、自分でも「お腹が空いているわけではない」という自覚はある。ただ口さみしく、アニメなど見ていても手持無沙汰で、どうにも落ち着かない。ただ、やはり「なんもしてないのに食べる」ことへの罪悪感はあるので、ちょっと食べては戻し、またちょっと食べては戻し…の繰り返しで、でもこれ結局ガッツリ食べるのと変わらないんじゃ…むしろ「お腹いっぱい食べた」罪悪感が沸かない分トータルではたくさん食べている気がする。

こんなんじゃダメだダメだと思いつつ食べるのがやめられない。そもそもやめる気もあまりないような気もする。私は我慢や忍耐といったスキルが皆無なので、単に耐えるということができないのだ。なにか他のストレス解消法、ひいては夢中になれるもの、を探す必要がある。読書や映画鑑賞などは好きだが、もうすこし能動的にできることがしたい。スポーツはどうか?実は以前スポーツクラブに体験に行ったことがあるが、単純作業のような筋トレに飽きてやめてしまった。飽き性でもある。そこで思いついたのが文章を書くことだ。頭も使うし、キーボードを触っている間は食べることもできない。
ということで文章を書き始めました。よろしくお願いします。
作品名:食べずに書こう 作家名:百歳