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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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第5の季節をみんなで決めよう!

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4つの季節の中に見慣れない1つの季節がやってきた。
まとめ役の「夏」が全員に声をかける。

「みんな聞いてくれ。大事な話がある」

「ふわあぁ……ねむねむ……なにぃ」と春。

「お腹減ったー! 手短に! 手短に!」と秋。

「……話……怒られるのかしら……はぁ」と冬。


「地球環境も異常気象がなにかと話題になってる。
 もうここも4つの季節だけじゃ足りないと思うんだ。
 そこで5番目の季節を連れて来た」

「あ、どうも。はじめまして、第5の季節です」

5番目の季節は恥ずかしがりながらお辞儀をした。

「みんな、どこを第5の季節にすればいいと思う?」

しんと静まり返って誰も意見を出さない。
そこで夏は率先して提案した。

「俺としては夏から秋にかけて、
 残暑が終わった後にもかかわらず
 ふいに戻ってくる"ちょっと暑い期間"を第5の季節にしたい」

春と冬はそれでなんとなく納得したが、
秋は思い切り反対した。

「待って待ってー! そんなのダメだよ!
 ただでさえ短いあたしの季節を短くしないでよぉ!」

秋は続けざまに話す。

「だったら、春から夏の間に新しい季節入れればいーじゃん!
 夏じゃないけど、春っぽくないほど暑い日ってあるでしょ?」

「……そうね……夏くらい暑い期間があるわ……」

秋の提案には冬も納得。
今度は春が猛反対。

「なにそれぇーー。そんなこといったらさぁ、
 秋から冬の間に入れればいいじゃんーー。
 冬じゃないくせに寒い日あるしぃーー」

「それはもう冬という認識で………いいじゃないですか……」

「じゃ、冬から春にかけての
 "春といえるほど暖かくないけど冬ほど寒くない"
 の期間に第5の季節をいれよーよぉー」

「……どうして私の季節を短くしたがるんですか……。
 ああ、これはきっと私を貶める罠なのね……」

第5の季節を置き去りにして、
4つの季節たちはぎゃーぎゃー話し続ける。

「待った待った! これじゃ話がまとまらないだろ!」

「だったらどうするのさー!
 あたしはぜったいに季節短くしたくないもんね!」

「わたしもそうだよぉーー……ねむねむ……」

「……みな同じ意見なのですね……」

夏は腕組みして考えた。
そして、誰もが納得する方法を思いついた。

「それじゃ、5つの季節全部で人気投票をしよう。
 人間にとって一番人気のない季節と
 一番求められている季節がわかるはずだ」

「さんせーい! 賛成賛成さんせーい!」
「いいかもねぇーーふわぁ」
「……よいと思いますわ……」

夏はさっそく人間に向けて季節人気投票を行った。
人気投票で一番人気のある季節だけを残し、
一番不要だとされている季節を削るという約束で。

 ・
 ・
 ・

「みんな、人気投票の結果が出たぞ!」

「本当? ふわぁ……楽しみぃ」
「どれかな!? どれが一番人気なの!?」
「……大変気になりますわ……」

夏は人間による人気投票結果を開示した。


春…0票
夏…0票
秋…0票
冬…0票

第5の季節…7,332,350,425票

「わ、私ですか!?」

投票の結果、第5の季節が1年中続くことになった。



「そういえば、第5の季節……君の名前はなんなんだ?」

「私の名前は……『恋の季節』です」

「人間は年がら年中発情してるのか……」

季節たちは静かに去っていった。