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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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消去法探偵のテキトー事件簿

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「犯人はこの中にいる!!」

探偵は高らかに宣言すると、
1室に集められた人たちはお互いの顔を見合わせる。

「探偵さん、それじゃ犯人がわかったんですね」
「いえ、全然」

「トリックがわかったのでは?」
「それがさっぱり」

「じゃ、どうして犯人がいるなんてわかったんですかぁ!」

探偵はゆっくりと部屋の中を歩き回った。

「私の行くところ、そこに殺人事件はいつも起きる。
 そして犯人はいつも私と関わる人の中にいたんです。
 だから"この中に犯人がいる"ということがわかったんですよ」

「でも、それを宣言してなんになるんですか?」

「これから犯人を捜していくんですよ、消去法で!」

探偵はまず最初に被害者の隣の部屋にいた婦人に聞く。

「事件があった午前2時。
 私は寝てましたが、あなたは何をしてましたか?」

「わたしは……バーでお酒を飲んでましたわ。
 ああ、わたしのアリバイはバーのマスターが保証できます」

「よし犯人じゃない」
「早っ!」

あっさりとした調査に誰もが度肝を抜かれた。
これが噂に聞くスピード解決がウリの消去法探偵。

消去法探偵は、次に男の客を調査する。

「凶器となった灰皿は
 私のような喫煙者の泊まる部屋しかありません。
 あなたは確か喫煙者でしたよね?」

「たっ、確かに灰皿はあるけどよぉ!
 でも俺には動機がないじゃないか!」

「動機なんてどうでもいいんですよ。
 おおかた犯人が特定されれば崖の淵で勝手に語るんです」

「雑だな!」

「消去法で候補から消えなければ、
 あなたは犯人ということになりますよ?」

「待ってくれ! それは違う!
 確かに部屋に灰皿はあったが……そう! まだあるんだ!
 俺の部屋を見てくれよ!」

男の提案通り、部屋を見てみると灰皿にはタバコがびっしり。
これを持って凶器に使ったとすれば
タバコが灰皿にたまったままになるわけがない。

「な? だから俺は犯人じゃないんだ」

「たしかにそうですね。消去法的に候補から外します」

探偵は最後の一人に目を向ける。
覆面をかぶった男は見るからに怪しい。

「最後はあなたです。
 あなたは無実を証明できるものはありますか?
 無ければ消去法的にあなたが犯人になります」

「…………」

「なぜ何も言わないんですか?」

「…………」

「まさか……消去法であなたが犯人なのでは……!?」

「…………」

「間違いない! 消去法的に、この人が犯人だ!」

探偵が宣言するや控えていた警察が一斉に襲い掛かる。
もみくちゃにされながら、犯人は叫んだ。

「僕は犯人じゃない! 犯人を捜しに来たんだ!」

覆面を取られた男は、その顔を全員にさらした。
顔を見た誰もが思わず息をのんだ。

「君は……殺された被害者じゃないか……!」

その顔は灰皿で撲殺された被害者の顔。
まるで幽霊でも見ているような気分。

「ちがう。僕は双子で殺されたのは弟だ。
 僕は犯人を探すために覆面でやってきたんだ」

「それじゃ弟が殺されてからここに来たんですか?」

「ええ、双子でも声は違います。
 だから声が出せなかったんです」

探偵はここにきての展開に頭を悩ませた。

「わかりました、消去法的にあなたは犯人じゃないですね」

頭をがしがしとかいた。


「くそっ! これじゃ消去法的にまた降り出しだ!
 どこかに犯行時間の午前2時にアリバイがなくて
 凶器の灰皿が部屋にあるような人間はいないのか!!」


客を含めた警察全員がたった1人を指さした。


「え、俺?」