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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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錬金術投稿サイト Renkin.jp

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錬金術投稿サイト『Renkin.net』。
ここでは様々な錬金術のレシピが投稿されている。

―――――― 錬金レシピNo.001
・亜鉛 20g
・砂金 40g
・氷  5g
・水素 30g

これだけで可愛い使い魔が錬金できます
――――――

錬金術投稿サイトで人気になるためには

・シンプル
・カンタン

でなければならない。

投稿サイトで人気の錬金術師のレシピはどれも
簡単に手に入る材料でびっくりするものを練成できる。

で、俺はというと……。

―――――― 錬金レシピNo.337
・トカゲのしっぽ 1本
・花の蜜     2g
・清流の水  50リットル
・3日寝かせたカレー 100g

まずはトカゲのしっぽとカレーを練成し、
そこから花の蜜と水を練成しつつ
朝日の光を浴びながら分解を進めます。

そして、ある程度形が固まってきたら
練成してひとつになったカレー尻尾を――
――――――

長い。
そして、複雑。

上手い錬金術師はあっと驚くアイデアで
他の材料で代わりをしたりしているからシンプルにまとまる。

でも、錬金術は精密なものなので
材料ひとつ変えただけで錬金結果は大きく変わるので
説明はどうしても細かくなってしまう。

「くそっ、俺みたいに錬金術試験で
 何度も落ちたような平凡な錬金術師じゃ勝てるわけない!」

と、口では言いつつも、Renkin.netで上位の錬金術師を負かし
ひいてはさばききれないコメントや評価をもらえる日常を
なんとか練成したいと思う自分がいる。

「なにかいいアイデアはないかなぁ」

天からアイデアが降ってくるのを待ちつつも、
なんとなく錬金術投稿サイトを巡回する。

「あ、そうだ。この錬金術師たちに
 思いつくメカニズムを聞けばいいじゃないか」

ふと、頭の中でアイデアが練成された。
さっそく人気錬金術師にファンを装ってコメントを寄せる。


>あなたの錬金術とってもすごいです!
 いったいそんな錬金術どうやって思いつくんですか!?


シンプルな錬金術をする錬金術師は返信もシンプルだった。


>教えるかばーーか


「ちくしょぉぉ!! ちょっとランキングが高いからって
 調子に乗りやがってよぉぉ!!」

むかついたので、錬金レシピNo.001のコメント欄には
『このレシピもっと効率化できます。教えないけどな』と書いてやった。

いや、もちろん、そんなアイデアはないけれど。

「……考えてみたら当然だよなぁ。
 手品のタネを簡単に教えてくれるわけないよなぁ」

結局、平凡な錬金術師はどうあがいても
画期的な錬金術ができないまま終わるのだろうか。

画期的な錬金術――。

錬金術――。


「思いついた!! 錬金術同士を練成すれば、
 きっと何か新しいレシピができるはず!」

斬新なアイデアが思いついた。

錬金術のレシピ同士を合体させて、
ひとつの新しい錬金術レシピを作ってみよう。

何ができるかわからないが、
間違いなくこの世に出てない新しいものに違いない。

「掛け合わせるレシピは、こないだの人気錬金術師と
 俺の錬金術レシピを合成させてみよう」

プリントアウトした紙で錬金術を行う。
できた錬金術はまったく想像していなかったレシピだった。

「これで何ができるのかな……」

おっかなびっくりではあるが、
新たに生まれた錬金術レシピをもとに錬金術を行う。

すると、最高にキュートな生物が生まれた。

「ミーッ。ミーッ」

「ふわぁぁぁ! なんだこれ! 可愛すぎる!
 こんな究極哀願生命体を作れるなんて最高だ!
 このレシピはきっと大人気になるぞ!」

そのままの勢いで錬金術投稿サイトにレシピを投稿しようとする。
そこでぴたりと手が止まった。

「いや、待てよ。
 これをこのまま投稿するよりも、
 このレシピを作る方法を紹介したほうがいいかもしれない」

材料には、人気のない俺の錬金レシピが必須となる。
となれば錬金術したいがために、
俺の人気ない錬金レシピに足を運ぶ人が増えるはず。

そうなれば、俺の錬金レシピは大人気になる!


――――――
錬金レシピNo.001と
錬金レシピNo.337を錬金術で練成してください。

このような可愛い生物ができます。
――――――


写真付きで錬金レシピを投稿した。

「ふふふ、この錬金レシピも人気になるし
 俺が過去に投稿した錬金レシピも人気になるに違いない!」


俺の予想通りで、可愛い写真に食いついた錬金術師たちは多く
瞬く間に俺の錬金レシピはランキングトップへと踊り出た。

「わっはははは! やったぜ!
 俺が最高の錬金術師だ!!」

大人気になって名前が売れた俺にコメントが寄せられた。
かつてのランキングトップ錬金術師だった。

>こんなに有名になるとは思いませんでした。
 私の錬金術レシピを材料にしてくれてありがとうございます。


「ははは。俺が有名になったとたんに、しおらしくなりやがって。
 まぁ、ムリもないか。俺に取り入ろうとしたいんだろう」


>あなたには感謝しています。
 あなたに指摘されるまでは気付きませんでした。


「指摘? 俺なにか言ったっけ?」


>以前あなたに指摘された
 レシピNo.001の改善を先ほど行いました。
 たしかにもっと効率化できました。
 自分では完璧と思っていても、まだ先があるものですね。


錬金レシピNo.001はよりシンプルで効率のいい方法へと変わっていた。


「待て待て待て待て!
 勝手にレシピを変更するんじゃない!
 そんなことしたら、俺の錬金合成レシピで何ができるか……」


その後、俺のレシピで作られた
危険なキメラが街にあふれかえる大事件となる。