「時のいたずら」 第十二話
自分は式部の父親と少しの間無理やりとはいえ関係があった。
初めは感じなかった部分も回数を経て感じるようになっていたことを思い出した。
優斗のことは生まれて初めて好きになった男性なので、あのようなことが自分に起こったらきっと激しく取り乱してしまうだろうことは想像できた。
その事を思えば思うほど体が熱くなる。手に汗が少し滲みだしていた。
さらに恥ずかしい気持ちが表に現れる。
「藤は・・・優斗さんのことを思えば思うほど自分が恥ずかしくなります。好きでいることが辛く感じたりすることは自分の至らないところだと思っております。優しさに甘えさせて戴ければ・・・藤はそれだけで十分幸せに感じられます」
そう言うと涙がこぼれた。
「いいんだよ。藤はおれの傍にいてくれるだけで十分なんだ。そのことは忘れないでくれ。過去は過去。今は二人のこれからのことだけを考えよう」
「はい、そのようにいたしたいと思います。一つだけ聞いて頂きたいことがあります。お宿に着いたらゆっくりとお話しますのでお願いします」
「ああ、俺も実は聞きたいことがあったんだ。ちょうどよい機会だ。話し合おう」
「ありがとうございます」
藤が優斗に話したことは優斗が感じていた疑問とほぼ同じことであった。
そしてそのことは二人の関係をより強いものにするのか、その逆なのかの判断を迫ってゆく。
高速道路を降りて道は伊勢神宮へと向かっていた。
平日とはいえそれなりの混雑を見せていた。駐車場に車を停めて二人は歩いて内宮へと通じる橋を渡り、砂利道の上を手を繋いで歩いていた。
優斗が話したようにすれ違う若い男性のほとんどが藤をチラ見してゆく。あんな男には勿体ないぐらい可愛い子だ、とか、きっとアレがいいから付き合っているんだろう、とか邪念の声が聞こえてくるようだ。
「ここがお伊勢様なのですね。藤はお参りに来れて嬉しいです」
「ああ、俺もだよ。内宮だけだけど初めて来た。二人の未来が幸せであるようにお願いしよう」
「そうですね。それは藤の願いでもあります」
お賽銭を投げ、柏手を打って礼をして拝殿を出た。宇治橋を再び渡って赤福で茶をよばれながら赤福餅を食べた。
初めは感じなかった部分も回数を経て感じるようになっていたことを思い出した。
優斗のことは生まれて初めて好きになった男性なので、あのようなことが自分に起こったらきっと激しく取り乱してしまうだろうことは想像できた。
その事を思えば思うほど体が熱くなる。手に汗が少し滲みだしていた。
さらに恥ずかしい気持ちが表に現れる。
「藤は・・・優斗さんのことを思えば思うほど自分が恥ずかしくなります。好きでいることが辛く感じたりすることは自分の至らないところだと思っております。優しさに甘えさせて戴ければ・・・藤はそれだけで十分幸せに感じられます」
そう言うと涙がこぼれた。
「いいんだよ。藤はおれの傍にいてくれるだけで十分なんだ。そのことは忘れないでくれ。過去は過去。今は二人のこれからのことだけを考えよう」
「はい、そのようにいたしたいと思います。一つだけ聞いて頂きたいことがあります。お宿に着いたらゆっくりとお話しますのでお願いします」
「ああ、俺も実は聞きたいことがあったんだ。ちょうどよい機会だ。話し合おう」
「ありがとうございます」
藤が優斗に話したことは優斗が感じていた疑問とほぼ同じことであった。
そしてそのことは二人の関係をより強いものにするのか、その逆なのかの判断を迫ってゆく。
高速道路を降りて道は伊勢神宮へと向かっていた。
平日とはいえそれなりの混雑を見せていた。駐車場に車を停めて二人は歩いて内宮へと通じる橋を渡り、砂利道の上を手を繋いで歩いていた。
優斗が話したようにすれ違う若い男性のほとんどが藤をチラ見してゆく。あんな男には勿体ないぐらい可愛い子だ、とか、きっとアレがいいから付き合っているんだろう、とか邪念の声が聞こえてくるようだ。
「ここがお伊勢様なのですね。藤はお参りに来れて嬉しいです」
「ああ、俺もだよ。内宮だけだけど初めて来た。二人の未来が幸せであるようにお願いしよう」
「そうですね。それは藤の願いでもあります」
お賽銭を投げ、柏手を打って礼をして拝殿を出た。宇治橋を再び渡って赤福で茶をよばれながら赤福餅を食べた。
作品名:「時のいたずら」 第十二話 作家名:てっしゅう