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亨利(ヘンリー)
亨利(ヘンリー)
novelistID. 60014
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聞く子の約束

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 さらに、大学の隣のショッピングモールで飾り付けのアルバイトをした時に、また気になる女の子茉実を見付けて、キクちゃんに報告した。茉実はそのモールに入っている百貨店の電話オペレーターをしていて、深夜から翌朝まで行われる飾り付け作業の応援に来ていたのだが、彼女とは軽く自己紹介をして多少世間話をしたぐらいで、もっと話をしたいと思っていたら、知らないうちに帰宅してしまっていた。とても残念に思ったものの、彼女はいつも防音室の中で仕事している人なので、顔を合わすチャンスはもうほとんど無いと諦めていると、キクちゃんは、
「その職場に電話してみようよ」
と言い出した。
 僕はためらったが、そのアドバイスに従って、茉実の勤務時間中に電話してみた。

「ありがとうございます。××百貨店でございます」
声ではすぐに、彼女かどうか分からなかった。まるで録音された音のように聞こえたので、どうしたらいいのか、ちょっと待っていたら、
「もしもし?」
と言われ、慌てて、
「オペレーターの○○茉実さんいますか?」
と聞いたら、その相手が茉実だった。
 なぜ、電話する必要があったのかと言えば、
「そんな仕事中にデートに誘われたら、断りづらいんじゃない? それにちょっと嬉しいと思うし」
というキクちゃんのアドバイスは、(逆に迷惑じゃないかな?)と考えたけど、(もし断られても、顔を合わせる機会もないなら、誘ってみて損は無い)そんな気がしてとりあえず電話してみたのだが、結果はバッチリ。茉実の休日が月曜だったこともあり、他とスケジュールがかぶりにくく、その後半年ほどだが交際することができた。
 やっぱりキクちゃんの言う通りにして正解だった。
 
 まだ女心がよく分からない男子にとって、建前に拘らない女性のアドバイスはとても役に立った。彼女の言う通りにして失敗しても、逆に慰めてくれるので落ち込む必要もない。僕はまるでキクちゃんのゲームのコマのように操られていたのかもしれないが、僕自身もちょっとずるいことを楽しんでいたと思う。

作品名:聞く子の約束 作家名:亨利(ヘンリー)