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敵中横断二九六千光年3 スタンレーの魔女

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重いハンドル



藪はひたすらひたすらに重いハンドルを回していた。機関長はまだ何分もやってない、などと言ったがあんなの絶対嘘だと思う。もう二十日間くらいこの仕事をやらされている気がする。一体なんでこんなことに。

重いハンドル試練の道を回す男のド根性。真っ赤に光るランプの色が緑色に変わるまで。回せ回せ藪助治。貧乏クジもあったもんだ。

ハンドルは重い。とても重い。とてもひとりで延々と何分間も回すシロモノと思えない。よっぽど力のある人間なら話は別かもしれないが――一体全体、あとどれだけこれを回せばいいと言うんだ?

金庫の扉のようなものにはただ一個の赤いランプが付いてるだけで自分がこれを何回まわしてあとどれだけ続ければいいのか示すものは何もない。

そういうものがあってもよさそうなものじゃないかと思った。地球でパチンコ打つときだって機械の上にデータ表示器が付いてるだろう。せめて何かあればちょっとは――と思いながらランプを見ていて、それがパッと緑に変わるのを藪は認めた。え?と思う。

目をこすろうにも銀ピカのバイザーに遮られていて触れられない。機関室の中はまだ摂氏百度のオーブンで、藪が今いるこの区画には技術科員が送る冷気も届いていない。藪はいったん目を閉じて、瞼(まぶた)を開けてもう一度ランプの光を見るしかなかった。

確かに緑だ。決して自分が色盲になり、赤と緑の識別ができなくなったわけではない。

藪は言った。「やった……」