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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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教えて!そのニュース!

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「はい! 現場の山口です!
 ということで、さっそく聞いてみましょう!!」

リポーターはマイクとフリップを持って
街頭アンケートを開始する。

「みなさん、このニュースが何かわかりますか?」

フリップを見せると、
街頭アンケートに捕まった女子大生×2は頭を悩ませる。

「え~~わかんな~~い」
「マジで!? 私もなんだけど」

次のアンケートは気品あるおばさんに。

「えぇ? わからないねぇ。
 最近ニュース見てないからかしら」

そして、次のアンケートは新橋のサラリーマンへ。

「わかんない、わかんない!
 ぜんぜんわかんないっすわぁ! あはは!」

「ということで、町の認知度はわずか10%でした!」

リポーターのアンケートが一区切りつくと、
スタジオのアナウンサーは質問した。

「それで、なんのニュースなんですか?」

「では、町の盛り上がりはどうでしょうか!
 さっそく行ってみましょう!」

「いや、なんのニュース……」

リポーターは近くのお土産店へと駆け込んだ。


「こんにちは、お父さん。
 大いに盛り上がっていますね。
 こちらのお店でも特別なものを売っているんですか?」

「ええ、ええ。
 "アレ"に合わせておまんじゅうを売り出してるんです」

リポーターはまんじゅうを味見する。

「うん、おいしいです。
 それに見てください、この長蛇の列!」

カメラは店の前に並ぶ長蛇の列を映していく。
そして、先頭に並んでいる人にマイクを向ける。

「何時ごろから並んでいるんですか?」

「もう昨日の午後5時からッスね」

ひとしきりリアクションを取り終わると、
再びリポーターがカメラ目線に戻る。

「いやぁーー、町は大変活気づいていますね!
 注目度の高さがうかがえます!

 現場からは以上です!」

スタジオに画面が切り替わる。


「それでは、次のニュースに移りましょう。
 現場の佐藤さーーん」


「はい! 現場の佐藤です!
 見てくださいよ、この人数!
 こんなにたくさんの方に集まってもらいました!」

「それで、どういったニュースなんですか?」

「みなさん大変注目しているニュースということが
 うかがえると思います!」

「……ではなくて! なんのニュースなんですか?」

「それでは町の声を聴いてみましょう!!」

リポーターは集まっている人たちにマイクを向けていった。
スタジオではアナウンサーが机に頭を叩きつけた。


「教えろやぁぁぁぁぁ!!!!」




この番組がいったい何を放送しているのか。
それを知りたい人がテレビ局の前にごった返す。

その様子を繰り返し放送していた。


「現場からは以上です!
 都内でも大きな盛り上がりを見せています!」

リポーターは街の声を聴き終わると、
満足したように何も語らずに報道を終わらせた。