教えて!そのニュース!
ということで、さっそく聞いてみましょう!!」
リポーターはマイクとフリップを持って
街頭アンケートを開始する。
「みなさん、このニュースが何かわかりますか?」
フリップを見せると、
街頭アンケートに捕まった女子大生×2は頭を悩ませる。
「え~~わかんな~~い」
「マジで!? 私もなんだけど」
次のアンケートは気品あるおばさんに。
「えぇ? わからないねぇ。
最近ニュース見てないからかしら」
そして、次のアンケートは新橋のサラリーマンへ。
「わかんない、わかんない!
ぜんぜんわかんないっすわぁ! あはは!」
「ということで、町の認知度はわずか10%でした!」
リポーターのアンケートが一区切りつくと、
スタジオのアナウンサーは質問した。
「それで、なんのニュースなんですか?」
「では、町の盛り上がりはどうでしょうか!
さっそく行ってみましょう!」
「いや、なんのニュース……」
リポーターは近くのお土産店へと駆け込んだ。
「こんにちは、お父さん。
大いに盛り上がっていますね。
こちらのお店でも特別なものを売っているんですか?」
「ええ、ええ。
"アレ"に合わせておまんじゅうを売り出してるんです」
リポーターはまんじゅうを味見する。
「うん、おいしいです。
それに見てください、この長蛇の列!」
カメラは店の前に並ぶ長蛇の列を映していく。
そして、先頭に並んでいる人にマイクを向ける。
「何時ごろから並んでいるんですか?」
「もう昨日の午後5時からッスね」
ひとしきりリアクションを取り終わると、
再びリポーターがカメラ目線に戻る。
「いやぁーー、町は大変活気づいていますね!
注目度の高さがうかがえます!
現場からは以上です!」
スタジオに画面が切り替わる。
「それでは、次のニュースに移りましょう。
現場の佐藤さーーん」
「はい! 現場の佐藤です!
見てくださいよ、この人数!
こんなにたくさんの方に集まってもらいました!」
「それで、どういったニュースなんですか?」
「みなさん大変注目しているニュースということが
うかがえると思います!」
「……ではなくて! なんのニュースなんですか?」
「それでは町の声を聴いてみましょう!!」
リポーターは集まっている人たちにマイクを向けていった。
スタジオではアナウンサーが机に頭を叩きつけた。
「教えろやぁぁぁぁぁ!!!!」
この番組がいったい何を放送しているのか。
それを知りたい人がテレビ局の前にごった返す。
その様子を繰り返し放送していた。
「現場からは以上です!
都内でも大きな盛り上がりを見せています!」
リポーターは街の声を聴き終わると、
満足したように何も語らずに報道を終わらせた。
作品名:教えて!そのニュース! 作家名:かなりえずき