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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「時のいたずら」 第六話

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「今の時代当たり前だよ。男も女も関係ない。したいことは誰でも出来るし、結婚だってしなくてもそれほど困らない」

「羨ましいことですけど、女は家で夫の世話をするのが幸せだと思います。子供を育てることと、好きな人が外で頑張れるようにすることが藤の思いです」

「素晴らしいね。俺はひょっとして最高のお嫁さんを手に入れたのかも知れないって思う」

「お嫁さん?藤のことそう考えて下さっているのですね。幸せです」

「正式にはまだ結婚できないけど、そんなことどうでもいいよ。二人が夫婦だと思っていればいいことだから」

「身分ですか?」

「うん?誰の?」

「わたくしのです」

「身分なんて今の世の中には無いんだよ。天皇もいるけど偉くはない。国家行事の最高責任者ではあるけどね。藤が俺でいいと思えばそれが正式な結婚となる。役所に届けることは必要だけど、藤には署名は出来ても戸籍が無いから後々困る。そこは考えないといけないことなんだよ」

「戸籍。1000年で消えたのでしょうか」

「消えるよね」

「どうすれば?」

「誰かの養女になるしかないかな」

「養女ですか?その方の娘として優斗さんに嫁ぐのですね」

「戸籍が出来るからね。正式に婚姻届けが出せる」

「優斗さんのお父様の養女ではいけないのですか?」

「そうなったら兄妹になるから結婚できないよ」

「私は本当の娘ではありませんから、大丈夫ですよ」

「血はつながっていないけど、形の上では兄妹だし今の時代モラルが問われるからそれは出来ない。他を当たってみるよ。心配しないで、急ぐことじゃないから」

「はい。これから何をいたしましょう?出来ることがあればお手伝いさせてください」

「そうだね。キミのために必要な物を買わないといけないからこの狭い部屋を広くするために片付けをしよう」

「わたくしのために何を?」

「鏡台とか、整理箪笥とか、ベッドも狭いから捨てて布団にしたりとかかな」

「そのように費用がかさむことはお止めください。今のままで不自由は感じておりません」

「藤が嫌じゃなければおれの実家で暮らせば不自由は感じないだろうし、子供を育てることも母に手伝って貰えば楽だしな」

「わたくしでご承知下さるでしょうか?」

「当たり前だよ。俺が選んだ人なんだからな。納得させる」

「力強いお言葉、藤には幸せすぎます」