「時のいたずら」 第四話
「いえ、それは優斗さんの分ですから頂けません」
「遠慮しなくていいよ。俺はおまえの分のラーメンも食べるから」
「宜しいのでしょうか?そのようなこと」
「宜しいのです。ハハハ~、言葉遣いが移るよ」
「いじめられているようで気が引けます」
「そんなこと思っているわけないよ。好きなことは好き、嫌なことはイヤ、と言えばいいんだよ」
「優斗さんはとてもお優しいので藤は幸せ者です」
「ギョーザぐらいでそんなこと言われたら、お調子者になっちゃうよ。いいから早く食べなさい」
お腹がふくれて、二人は店を後にして自宅へ戻ってきた。
日が傾きかけた頃、優斗は仕事に出かけるからと言って、風呂に入ると準備をした。
部屋で裸になって浴室の中に入った優斗に藤は声をかけた。
「お背中お流しします」
「えっ?そんなことしなくていいよ」
「お嫌なのですか、わたくしが?」
「どういう意味だ?そんなこと言ってないぞ」
「ではやらせてください」
「狭いからやりにくいぞ」
服を着たまま浴室に藤は入ってきたので、それなら一緒に入ろうと優斗は誘った。
戸惑っていた藤は覚悟を決めたのかその場で服を脱いだ。
「恥ずかしいので後ろを向いていてください」
「藤は綺麗だ。初めてこんな美しい肌を見たよ」
「優斗さん・・・藤は慕っております。初めてお顔を拝見した時からこの時までずっと、ずっと」
「嬉しいね。藤のこと離さないから傍にいてくれ」
「ありがとうございます。そのお言葉だけで幸せです」
「言葉だけではないよ。ずっとここで暮らそう」
「信じてもいいのですね?藤で満足して戴けることを」
「ああ、さあ、狭いけど膝にお座り」
優斗は藤を正座している自分の膝に後ろ向きに座らせた。
身長が150を切っているぐらいの藤の身体は少女のようであり、大人の色気も感じさせる不思議なコンビネーションを放っていた。
作品名:「時のいたずら」 第四話 作家名:てっしゅう