小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

ユージュアル・ホリデイズ

INDEX|1ページ/1ページ|

 
早隠居の身に連休は反対にいそがしい。
なにしろ身内が集まりたがる(主に父)。
父はことし今月喜寿を迎え、さらに母の日があり、さらにさらに義妹の誕生日があり、
そしてペロくんの誕生日もある(わたしの4月の誕生日はどうやらスルーされたくさい)。



3日には親族が集い、それぞれ料理を持ち寄ったり取り寄せたりして卓を囲んだ。
柿の葉寿司。鯖のポテト包み焼き。まぐろのカルパッチョ。かぼちゃのキッシュ。
クラムチャウダー。ピクルス。焼き鯛。鰹の刺身。わたしたちは安易にピザとサイド(安易ながらこれが一番ウケた感)。
もう、食って食って食ってもう無理だと思っても死ぬ気で食った。
腹いっぱいというよりも食べ過ぎで腹筋がつって痛いくらいだった。阿呆か。
飲み食いしながら話もはずむ。



弟は結婚して以来すっかり明るくなり、しかし毎週5日間出張ばかりのことをこぼしながら、
取引先の笑い話なんかをしてくれた。
彼は化粧品会社の営業なのだが、取引先のスタッフ数が最低何人いないと書類の関係上まずいということがあるそうで。
で、人数が一人足りないというある取引先で社長が小型犬を抱きながら、「この子もうちの大事なスタッフでーす♡」
とのたもうた。
「はい、そうですよね先生!」
弟は何かをこらえながら書類を作成する。
スタッフの中に異様なキラキラネーム。
一同腹筋こわれる。



父へのお祝いとは別に、母と義妹に花を持参した。
喜ぶ顔が、花に見える。




ペロくんの誕生日を想う。
おめでたいのに、寿ぐ日なのに、ペロくんはみじんも欲を出さない。
あれが欲しいもなし、あそこへ行きたいもなし、あれがしたいもなし。
お祭り好きな血筋のわたしとしてはとても困る。
何をしてあげたらいいのだろう。



誕生日の前倒しで値の張る財布を買ってもらってしまったわたしとしては、気まずい。
彼が無邪気に無欲なのがよけい罪の意識をさそう。



多分飲む日になるだろうけど、そうなると彼は飲みながら食べられない体質なので食べ物の線は難しくなる。「フィニッシュラーメン」とか言われてもなあ。
しかもそれを「ラ王の正油味」とか言うんだぜ。
うう。
欲しがってくれよなんらかを。