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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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死聴率0.0000001%のTV番組

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深夜2時はネクロマンサーTVの時間。
さまざまな番組が放送されている。

『今日の特別ゲストは女優のクレオパトラさん~~』
『真田幸村のひとりぶらり飲み』
『マイケルジャクソンと朝までダンシングオールナイト!』

死聴率が高いほど
番組に関わっているネクロマンサー達の死後の世界は安泰だ。

人気番組『異界の果てまで行って9』のネクロマンサーなんかは
すでに死後の世界で贅沢暮らしが保証されているらしい。


でも、俺の番組はというと……。

「死聴率……0.0000001%かぁ」

このままでは俺の死後の世界が心配だ。
ネクロマンサーになったのも、
ひとえに良いことなかった現世に見切りをつけて
死後の世界で豪遊しまくるつもりだったからなのに。

「このままじゃだめだ!
 どんなことをしてでも死聴率をかせがなくては!」

俺の番組『朝までトークでSHOW!』には、
さまざまなテコ入れが切れ目なく行われた。

最近人気の企画をパク……オマージュしたり、
ちょっとお色気を出してみたりしたが効果は出ない。
それどころか悪化すらしはじめるほど。

「くそっ! こうなったら……!」

わらにもすがる思いで有名人100人を出演させた。
どこの番組よりも豪華な顔ぶれが番組内に集められた。

「やった! これなら高死聴率まちがいなしだ!」

番組終了後、死聴率を楽しみに待っていると……。



死聴率:0.00001%


「ぜんぜん変わってないじゃん!」

死聴率は微増したものの、大して変わっていない。

いったい何が悪いのか。
いったいどうして見ないのか。
まるで原因がつかめない。

「番組は面白いはずなのに……。
 いったいどうして人気が出ないんだ……」

100人もの有名人を番組に出して変わらないんじゃ
もうこの番組なんて続けても仕方ないんじゃないか。

諦め半分、というかやっつけでCMをカットした。

こんな不人気番組の宣伝効果なんてないのだから。




数日後、知人のネクロマンサーが慌てて飛び込んできた。

「お前の番組すごいな! こんな死聴率叩き出せるなんて!」
「ネクロマンサーTVで一番の死聴率だ!」
「いったい何をしたらあんな人気になれるんだ!?」

「"この先はCMのあと!"とか
 "CMのあとで衝撃の事実が!"とかを削ったんだ。
 なにせCMがないから」

「「「 そうだったのか! 」」」

CMをカットしたとたんに死聴率はV字回復。
一気に俺の番組は死聴率トップへと踊り出た。

いかに現代の死聴者がもったいつける演出に
嫌気がさしていたのかがよくわかった。

「すごいよなーー。
 これだけの人気番組のネクロマンサーなら
 きっと死後の世界は誰よりも最高になるだろうよ」

知人のネクロマンサーたちは、みな俺にあこがれた。
俺も死後の世界でどんな幸せ体験が待っているのか楽しみだった。



やがて、俺も寿命が尽きると死後の世界へと案内された。

最奥に座る閻魔大王はこれまでの死聴率データを確認する。

「ほお、すごい死聴率じゃないか。
 こんな数字は観たことがない」

「ええ、そうでしょう!
 それで俺の行き先はどこになるんです!?
 きっと最高に幸せな場所になるんでしょう?」

「いや、お前の行き先はもう決まっている」


閻魔は地獄へと続く薄暗い階段を指さした。


「ネクロマンサーの番組に出演させるために
 有名人100人を殺した罪で地獄行きじゃ」