アルペジオ
ほこりと日なたの匂いのやねうらは
本でいっぱい
座りこんで
鼻をこすりながら
朝から本を読んでいる
部屋には音楽もないのに
物語の中に
音楽がきこえる
心のハープの弦をやさしくつまびくように
鳴っている
植物もないのに
物語の中に
緑まばゆい草原が広がる
草のかげにはうさぎもはねてる
食べ物はないのに
ページをめくると
すてきなごちそうがあらわれる
今日の献立は熱々のシチューとつめたいプディング
恋人もいないのに
読み進めてそのしまいには
あの人が呼んでいる
窓の下、お日さまの下
おいで、一緒に遊ぼう、と