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青井サイベル
青井サイベル
novelistID. 59033
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スローなブギにしてくれ。

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「時間をうまく使える有能な主婦」。
視た人もいるかもしれない。NHKの朝番組で、そんな特集を視た。
言わせてもらおう。
「なんだとこの馬鹿野郎べらぼうめが」。


紹介された主婦たちは芸能人だったりフルタイムで働き生活に関する本を出版した人だったり人気ブロガーだったり。
彼女たちはどこでどう時間をねじらせ生活をしているのか。
がっかりしてしまった。
食事は前日の残り物であったり、ヨガをやりながら洗濯物をたたむという珍妙なことだったり、
フルスピードで動かなければならない部分がやはりあったり、
週末に一週間分の食材を仕入れて一週間分の食事を作って冷凍したり(これがどれもとてつもなく不味そう、朝食は鳥のエサ同様)。


うんうん悩んで相談して冷蔵庫の中身を見て、ぴーんとひらめいた料理を、(へただから)時間をかけて作る。失敗も多い。
体を動かさなきゃなあと思いながらだらだら文章を書いたりしている。でも好きなことをしていれば、ストレスはずっと少ない。腰が痛くでも、それは歳なんだしネタになる。
思いついたときにやる掃除だの家事だのは、そらもう「覚醒剤打ったの?」というくらい徹底している。一挙に長時間かけて掃除をやり終えた部屋は、どこもすべて舐められるほどである。


時短の主婦たちは、なんだか「自分に酔っている」感じがした。
「モモ」の話を思い出す。ちゃんと読んでないが、時間泥棒が時間を盗んでいく話。
家中に時計を設置してる主婦もいた。
わたしは時々「日時計」「腹時計」で時間を勘定する。
太陽が西に傾けば昼過ぎ。
おなかが鳴ったらおやつどき。
「あんたみたいにヒマじゃないのよ、フン」という声が聞こえてきそうだ。
でもヒマって、佳いですよ。



部屋の中にいま、暮れかかったにび色の曇天が日の最後の明るさを落とし、
夕飯の為にゆっくらこんと用意したクリームシチューのにおいがし、
わたしは指を走らせる。
時間は優しく、このちっぽけな存在を満たしている。
スローなブギにしてくれ。